<春節が始まった中国だが、出稼ぎ労働者の里帰りは「悪意ある帰郷」として非難され、政府はビッグデータを武器に人々の行動を監視し続けている> 中国は2月1日に春節(旧正月)を迎える。この日の前に里帰りし、家族で一緒に年越しをするのは中国人の伝統だ。数億人の出稼ぎ労働者が生まれ故郷に帰る「春運」は、「人類史上最大の移動」といわれている。 しかし、今年はオミクロン株蔓延のため、各地の政府が「帰郷するな」と呼び掛けている。西側諸国で感染が爆発したとき、慌てて国に逃げ帰った中国人留学生たちは、「千里投毒(遠くから毒をまきに来る)」と批判された。 今年、あえて帰郷しようとする出稼ぎの人々は「悪意返郷(悪意ある帰郷)」と非難され、実家に帰った途端すぐに拘束される可能性もある。 感染対策として、当局はビッグデータも利用している。例えば、北京で出稼ぎをしている岳(ユエ)という中年男性が先日、新型コロナウイルス