「自由競争」。この言葉が持つ欺瞞は私が所属している芸能界でも日々感じる。 「最近テレビが面白くない」はよく聞く言葉だ。莫大な予算の番組がある一方で、低予算番組はそれをまた下請け会社がさらに低い予算で作る。タレントは時価だし出演料が高いから、社員の給与内で支払いが済むアナウンサーを局は最大限利用する。これだけでかなりのコストダウンができる。 そこに近年新たなコスト削減策として登場したのが“文化人”という枠だ。この“文化人”はアナウンサーより安い出演料で済む。アナウンサーと文化人だけを置いておけば、かなり低予算で番組は仕上がる。 番組予算の少ない関西は特にだが、最近のニュースバラエティ番組の乱立の背景にはこういう事情があると私は読んでいる。現実に起こる事件はバラエティと刺激に富み、優秀な番組企画者はもはや必要ではない。 日々起こることを、ああでもない、こうでもない、と、文化人が喋る。そしてアナ