任天堂のバランスシートで、まず、気になるのが現金の量である。2007年3月時点での現預金等は、なんと1兆円。実に総資産の3分の2を占めている。 通常、企業は今後の事業活動を継続させるために、ある程度の現金を保有しているものだ。しかし任天堂が持つ現金は、設備投資や運転資金としての金額をはるかに超えているように思える。 磐石な財務基盤だといえばその通りだが、問題もある。これらの現金は、実は「コスト」だということだ。これは、どういうことだろうか? ザ・無借金経営の任天堂 任天堂の自己資本比率は70%と高く、有利子負債はゼロである。株主から期待されている平均的なリターン(利回り)を8%とすると、任天堂の調達には金利8%のコストがかかっていることになる(右図)。 一方で、任天堂の事業の収益率(税引後投下資本営業利益率)の方は8%程度で推移している。直近期こそWiiのヒットで12%前後まで上がったもの