『週刊文春WOMAN Vol.2』より 家族4人で幸せに暮らしていた自宅が火事になり、最愛の娘(当時11歳)を亡くしてしまった。悲しみも癒えぬうちに刑事がやってきて、「お前が家に火を付けて娘を殺したんや」と決めつけられた。「保険金目当てに鬼のような母親や」と言われ、無実を訴えても信じてもらえず、そのまま20年も獄中に囚われることになった──。 それが青木さんの身に実際に起きたこと。やり直しの裁判で無罪になり、20年ぶりに塀の外に戻ることができたが、失われた時は戻らない。かわいい盛りだった8歳の息子は見知らぬ大人の男に。元気一杯だった両親は80歳を過ぎて介護が必要に。そして自分は、30代から50代になっていた。まるでタイムスリップしたようだ。長年塀の中に閉ざされて、ネットもスマホも、ガラケーだってわからない。世の中になじめず、他人の目が気になり、時々ふっと「刑務所に戻りたい……」とすら思って