ブラック企業の横行が叫ばれて久しい。だが、こうした現状を国が許してしている面があるという。弁護士の明石順平氏が著書『人間使い捨て国家』(角川新書)で糾弾している。 明石氏は、主に労働問題を扱う弁護士で「ブラック企業被害対策弁護団」の事務局長。本書は、労働法は罰則が緩く、企業はむしろ残業代を払うよりも罰金を払う方が得といった歪んだ現状をはじめ、酷使される公務員やコンビニオーナー、外国人技能実習生など、日本の社会問題全般にも切り込んでいる。 本書を読むと、事は「ブラック企業を非難していればそれでいい」という問題だけではないと思い知らされる。「自分は使い捨ての人間だ」と暗い気持ちで働く人も、そうでない人も、すべての労働者が今すぐ読むべき一冊だ。(文:篠原みつき) 「企業優先、人命軽視」という法制度の緩さ 長時間労働が過労死・過労自殺のリスクを跳ね上げることは知られているが、明石氏は「残業代がブレ