(福島 香織:ジャーナリスト) 最近、習近平政権にタブーとみなされている刊行物を国外や香港、マカオなどから中国内に持ち込んだとして、きびしい懲罰にあったり、党籍はく奪や刑事罰に遭うケースが増えているらしい。そのタブー視されている刊行物の中には、温家宝が、自分の母親を偲ぶエッセイを寄稿した週刊紙「マカオ導報」も含まれているという。 すでに一部では報じられているが、温家宝が自分の亡き母親の思い出を清明節(中国のお盆に相当。墓参りをして故人を偲ぶ日。2021年は4月4日)に合わせて4回にわたって連載した内容が、どうやら習近平の逆鱗に触れて、ネット上では閲覧制限され、ちょっとした騒ぎになっていた。 温家宝の「我が母親」というタイトルのエッセイは、「マカオ導報」に3月25日から4月15日にかけて4回に分けて掲載された。微信の媒体公式アカウントにも転載されたが、すぐに閲覧制限され、事実上の発禁扱いにな