2023年6月までの1年間(2022事務年度)の税務調査で、「富裕層」の申告漏れ所得が過去最高の総額980億円に上ったことが22日、国税庁のまとめで分かった。各国税務当局との連携を強化するなか、海外投資に絡む申告漏れが多く発覚したという。インフルエンサーによる広告などインターネット関連取引に対する追徴課税も目立った。22年度の所得税の調査は63万7823件(前年度比6.3%増)で、申告漏れ所得
野村とみずほ、計1億ドル超の損失か-オール・ブルーの取引失敗で Donal Griffin、Lucca De Paoli 野村ホールディングスとみずほフィナンシャルグループは、投資ファンドのオール・ブルー・キャピタルが行った一連の株式取引の失敗に関連し、計1億ドル(約153億円)を超える潜在的損失に直面している。 ニューヨークで提出された法的書類と事情に詳しい関係者の話をまとめると、オール・ブルーは今年に入り、複数の取引相手との間で行った空売りで失敗が相次いだ。オール・ブルーの2つのユニットは3月に英領バージン諸島で清算手続きに入ったことを届け出書類は示している。 関係者によれば、オール・ブルーが決済を履行できなかったことが影響し、野村HDは140億円の損失を被る可能性がある。これとは別に、みずほはオール・ブルーには未返済の1900万ドルの債務があると訴えている。みずほがニューヨークで提起
このところの金融市場では株価や円相場の変動が大きく、不安定な値動きが続いています。そのきっかけとなった今月初めの記録的な株価急落や円高では、ヘッジファンドなどの投機筋が「円キャリートレード」と呼ばれる取り引きを解消したことが要因だという指摘が出ていて、最新の統計からもこうした動きがうかがえます。 「円キャリートレード」は、金利が低い円を借り、ドルなどの金利が高い通貨に換えて運用し、利ざやを稼ぐヘッジファンドなどの投機筋の取り引きです。 円を売ってドルを買うため、この取り引きが膨らむと円安ドル高が進みやすくなります。 先週末にアメリカで公表された「IMM通貨先物ポジション」によりますと、先物取引で円を売ろうという動きが買いを大きく上回る、いわゆる売り越しの状態が長く続いていて、先月2日、9日には先物取引の単位で18万枚を超える売り越しとなりました。 このころ円相場は1ドル=161円台と歴史的
人生は攻略できる。それと同じく、新NISAも攻略できる。 人生を攻略する上で重要な指標は、「コスパ(コストパフォーマンス)」「タイパ(タイムパフォーマンス)」「リスパ(リスクパフォーマンス)」の3つだ。その考え方は新書『人生は攻略できる』にまとめたが、それは新NISAをはじめとする投資においても変わらない。 いきなり結論から述べるなら、私の新NISA攻略法は、年間120万円までに拡大される「つみたて投資枠」を使った、コスパ・タイパ・リスパに優れた世界株インデックスファンドへの積み立て投資だ。 そう考える理由と、具体的な戦略を説明していこう。 「コスパ」の良い制度である新NISA 新NISAの話をするにあたって、まずは投資でもっとも重要なことをはっきりさせておく。それは、いかにコストを下げるかということ。すなわちコスパだ。 投資のコストには、1. 手数料、2. 税金の大きく2つがある。NIS
「定年退職か再雇用か」「年金はいつから受け取るか」……50代から60代は、年金制度や各種手当について知っているかどうかで「老後の手取り額」が大きく変わってきます。そこで、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、65歳までに知っておきたい“もっともおトクな退職の時期”とその理由を解説します。 ピーク時年収1,000万円のAさんが、同期を羨んだワケ Aさんは、1958年11月生まれの65歳です。大学卒業後は、都内に本社を置く通信機器販売業のC社に勤めていました。Aさんは主に営業畑を歩み、まじめで熱心な仕事ぶりが認められ、60歳で営業部長(年収1,000万円)として役職定年を迎え、その後は年収550万円で一般職として後進の指導に当たりました。 65歳のAさんはこのたび退職金1,400万円を受け取り、定年退職※したところです。 ※ 65歳定年企業は52,418社(22.2%)、中小企業では22.8%、大
全銀ネットでは、障害発生直前の10月7~9日に、全銀システムと金融機関の接続を中継するリレーコンピューター(RC)の更改作業を行った。NTTデータは全銀システムに携わっており、旧RC(RC17シリーズ)を新RC(RC23シリーズ)に更改するプロジェクトを担当している。更改は、金融機関で設置、稼働するRC17シリーズをRC23シリーズに更新した上で、稼働環境を全銀システムに集約するものとなる。 全銀ネットの10月18日の発表によると、障害はRCで処理する金融機関の送金/着金の手数料に関連した「内国為替制度運営費」で発生した。ここでの処理方法の1つに「あらかじめRCに設定されたテーブルを参照してRCが電文に金額を入力」があり、その処理にエラーが発生してRCが異常終了し、電文の送受信に影響が生じた。 NTTデータの説明によると、障害の直接的な原因は、上記の「あらかじめRCに設定されたテーブル」を
日経平均の「財界系バイアス」 まず為替レートについては、たった0.15%ポイントの利上げで円が5%も上がったのは過剰反応だ。このように針の一刺しで風船がはじけるのは、バブル崩壊の典型的症状である。特に日経平均銘柄の下落率が大きい。 この図でもわかるように、アベノミクスの前まではパラレルに動いていた日経平均とTOPIXが、2018年ごろから乖離し、最近はNT倍率(日経とTOPIXの比)が約15倍になっている。この原因は、両者の算出方法の違いによる。 日経平均は東証プライム市場から225銘柄を選び、その株価の単純平均をとる。このためグローバル企業や株価の高い値がさ株(ユニクロや東京エレクトロンやソフトバンクなど)の影響が大きくなる。 他方、TOPIXは各市場から選定された2158銘柄の時価総額の加重平均をとるので、時価総額の大きい銘柄(トヨタ・ソニー・銀行株など)が上位になるが、企業の平均規模
“歴史的円安”対応の陣頭指揮を執ってきた、財務省の神田財務官が7月末で退任しました。退任に先立ち日本テレビは、神田氏に単独でインタビュー。「常在戦場」「出張には端末5台」「介入は効いている」。明かされた円安対応への“本音”と介入の“裏側”とは…。単独インタビューの「全文」を公開。 ◇為替の話。今まで円安が進んでいく中で、市場には政府・日銀は為替介入を「できないんじゃないか」「しないだろう」という考えもあったかと思う。ただ、実際は為替介入に踏み切った。どんな“思い”からだったか? ーーー思いというか、なんて言いますか、私の基本的な考えは、我々、変動為替相場制をとっているわけですから、為替相場はファンダメンタルズを反映して、安定的に推移していることが重要で、その限りでは市場に任せるべきだと思っています。 ただ、投機の動きなどで、本当に行き過ぎた動き、過度な変動があった場合は、これ、何も悪いこと
逆イールドよりも悪いものは何だろうか。 米国債のイールドカーブはここ1年3カ月にわたり逆転している。つまり、10年物米国債の利回りが2年物の利回りを下回っている。この逆イールドは広く知られているように、強力な景気後退指標の一つだ。逆イールドが長期化するということは、深刻な問題が進行中であることを意味する。 しかし、ここ数週間の長期債利回り上昇で、逆イールドは急速に縮小している。7月時点では107.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の逆転だったが、現在は31.7bpにまで縮小し、逆転の度合いは約1年で最も小さくなった。 逆イールドはリセッション(景気後退)が始まる直前に解消される傾向がある。明らかに景気後退が迫っている時は、中央銀行が利下げを開始し短期債利回りを低下させるからだと考えられる。SMBC日興セキュリティーズ・アメリカのジョー・ラボーニャ氏による以下のチャートは、景気後
20年ぶりとなる新しい紙幣が3日に発行され、日銀から金融機関への引き渡しが始まりました。銀行の支店では、新紙幣に両替しようと多くの利用客が集まりました。 東京・日本橋にある日銀本店では、3日朝に新紙幣の発行にあわせて記念の式典が行われました。20年ぶりに刷新された紙幣には、一万円札に渋沢栄一、五千円札に津田梅子、千円札に北里柴三郎の肖像がデザインされています。 日銀の植田総裁は式典で「本日、1兆6000億円の新しい日本銀行券を世の中に送り出す予定です。キャッシュレス化が進展していますが、現金は、誰でもいつでもどこでも安心して使える決済手段で、今後とも大きな役割を果たしていくと考えられます。新しい日本銀行券が国民の皆さまのお手もとに広く行き渡り、わが国経済を支える潤滑油となることを期待しています」とあいさつしました。 そして午前8時すぎに日銀から金融機関に新紙幣が引き渡され、束になった新紙幣
やまざき・はじめ/1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務めた。2024年1月1日、永眠。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 邦銀がドル定期預金の金利を急上昇させて話題となり、「投資先として魅力的ではないか」という質問をこの1カ月で何度か聞いた。「ドル定期預金」はいい投資先なのか。
2024年も金融市場では波乱が見込まれる。上場投資信託(ETF)なら何に絞るべきか、AI株はすでに割高すぎるのか、債券市場はどうなるか──投資にあたってはさまざまな疑問や迷いや疑問が生じる。そこで米メディア「ブルームバーグ」は、100万ドルという潤沢な資金があったら何に向けるか、米国のプロ投資家に意見を聞いた。 4人のプロ投資家からは、100万ドル(約1億5000万円)という潤沢な資金があったら何に使うかという質問に対し、さまざまな答えが返ってきた。 1.「小型株」が狙い目 米金融テクノロジー会社エンベストネットの共同最高投資責任者(CIO)であるダナ・ダウリアは、時価総額が低く、取引量が少なくて流動性の低い「小型株」への投資を勧める。 小型株はいま米国市場で好調で、この流れは今後もしばらく続くとダウリアは予想している。特に今後米国で見込まれる利下げがあれば、小型株からは大きなリターンを見
先日、昨年から書き進めていた「クリティカル・ビジネス・パラダイム」をついに脱稿しました。かなりの分量の原稿を最終工程で削ぎ落としたので、本が出版されたら、おいおいこちらのNOTEでボツになった原稿を共有していきたいと思います。 さて、ということで、これからは次の書籍の企画に時間をかけていきたいと思います。漠然と考えているテーマは「これからの生き方・働き方」といったもので、前回と同様、書きかけの原稿をこちらにちょこちょこあげながら、一種の市場調査というか、テーマに対する関心の度合いを計りながら進めていければ楽しいかなと思っています。 今日は、掲題にある通り「キャリアというゲームの構造原理」について書いてみたいと思います。次の図を見てください。 つまり、キャリアというのは、 時間資本を用いて人的資本を生み出し、人的資本によって社会資本を生み出し、社会資本によって金融資本を生み出すという、超長期
トランプ前大統領が提案する全面的な関税が現実となればインフレ加速を招き、米金融当局による約5回の追加利上げにつながる可能性がある。ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ヤン・ハッチウス氏が予測した。 トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、中国からの輸入品に60%余り、また全輸入品に対しても10%の関税を課す計画を示している。 トランプ氏、60%超える対中関税の導入を示唆-大統領返り咲きなら ハッチウス氏は2日、ポルトガルのシントラで行われている欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでの講演で、トランプ氏の関税案は「米国の平均関税率を16ポイント引き上げ、20%近くにする可能性がある。これは戦後最高となるだろう」と述べ、世界的な報復関税につながり、貿易戦争に発展する恐れがあると続けた。 さらに「貿易戦争がない場合のわれわれの基本シナリオは、ECBと米連邦公開市場委員会(FOMC)
MSCIは、市場の混乱に伴い中国株式市場の時価総額が大幅に減少していることを受け、世界的なベンチマークの組入銘柄から数十社の中国企業を除外する。 最新の四半期見直しではMSCI中国指数から66社が除外された。これは少なくとも2年ぶりの多さとなる。変更は2月29日の取引終了時点で実施、MSCI・ACWI指数にも反映される。除外された企業には不動産関連の金地(集団)や緑城中国のほか、中国南方航空、平安健康医療科技(平安好医生)も含まれている。 インデックスファンドはこうした銘柄をポートフォリオから外す必要があり、既に打撃を受けている中国市場にとってはさらなるリスクとなる。 中国不動産セクターの問題や低迷する消費への懸念から、世界のポートフォリオにおける中国のウエートは落ち込んでいる。その一方でインドなどの台頭が目覚ましい。中国・香港株式市場に対する悲観的な見方が根強いことを示すように、一連の支
投資部があるのは沖縄市にある仙台育英学園沖縄高校です。 那覇市の中心部から車でおよそ40分、住宅が立ち並ぶなかに、薄いピンク色が特徴的な校舎が現れます。 2023年4月の開校にあわせて「投資部」が設けられました。 学校では、家庭科の授業で金融教育を行っています。 ただ、座学だけでは得られないものがあり、学んだ知識を実践で活用してほしいと、この部の設立を決めたそうです。 沖縄県の所得水準が全国でも低いとされる中、生徒たちの金銭的な自立につなげたいという思いもあったということです。 この部では、どんな活動を行っているのか。 週1回の活動日に学校を訪れました。 授業が終わった午後3時半過ぎ、教室に集まってきたのは、入部を検討する1年生と投資部の生徒あわせて19人。 入部体験を兼ねたこの日は、オンラインで東京の証券会社の社員から講義を受けました。 「就職活動で東京に滞在するとしたら、どれくらいの費
2023年12月12日 日本銀行企画局 全文 [PDF 895KB] 要旨 日本銀行は、1990年代後半以降、ゼロ金利制約に直面するもとで、様々な非伝統的な金融政策を実施してきた。主要な海外中央銀行においても、グローバル金融危機の発生以降、大規模な資産買入れなどを実施してきた。こうした大規模なバランスシートの拡大を伴う非伝統的な金融政策は、その引き締め局面で、中央銀行の財務に影響をもたらし得るとして、そのことと金融政策運営能力、ひいては通貨の信認を関連付けた議論がみられている。 中央銀行は、買い入れた国債等から利息収入を得る一方、負債である当座預金(所要準備)と銀行券については金利が付されない収益構造となっている。このため、通常、安定的に収益(通貨発行益)をあげることができる。 中央銀行が非伝統的な金融政策を実施するもとで国債の買入れ等によってバランスシートを拡大すると、資産側では国債等が
日本銀行元理事の山本謙三氏は、日銀が金融政策を正常化する局面で、保有国債を圧縮する方針や計画を早めに表明することが重要との見解を示した。政治圧力などで残高削減が進まなければ、事実上の財政ファイナンスへの懸念が一段と強まる可能性があるとみている。 山本氏は国債買い入れで肥大化した日銀当座預金について、所要準備額を若干上回る平時の水準に引き下げるには、新規購入を停止しても9年程度はかかると試算。正常化局面で想定される金利変動や政治との関係を踏まえれば、9年間も国債買い入れを行わないこと自体が「非常にハードルが高い」とした上で、「なし崩し的に保有国債の残高が維持される可能性がある」と語った。4日にインタビューした。 日銀は大規模国債買い入れは2%物価目標を実現するためと説明してきたが、正常化の際に残高を圧縮できないのであれば「財政ファイナンスということになる」という。政治に財政再建への意志が見え
国民生活基礎調査によると、2022年の所得金額階級別世帯数の中央値は405万円で、10年前の432万円から6%以上減少している。一方で、個人の金融資産は2023年末で過去最高の約2141兆円。10年前の1644兆7310億円と比べると、30%も増加した。“お金持ち”は増え、格差は確実に広がっている。では、そんな“お金持ち”はどのように稼ぎ、どんな生活をしているのか。中小企業の経営者や高所得サラリーマン、仮想通貨の“億り人”など、さまざまな“お金持ち”に取材をすることでその実像が浮かび上がった。(文・写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 東京都港区の高級住宅街にあるタワーマンションの一室。高層階から都心の景色が一望できる。 この部屋に住むのは都内で不動産仲介業を営む西村健一さん(41歳、仮名)だ。 西村さんは一人暮らしのため1LDKだが、家賃は約30
「こんな仕事、辞めてやる」。一世代前の流行歌では、上司にこう言い放つよう労働者に促す歌詞があった。米国民のリタイア動向から判断すると、数百万人がこの助言に従っているようだ。 エコノミストはかねて、ベビーブーマー世代の高齢化に伴い、人口に占める引退者の割合が急増すると予想してきた。しかし、新型コロナウイルス禍によって、引退者数は予想をはるかに超えて急増し、「グレート・リタイアメント(大引退時代)」と呼ばれた。こうした傾向は後退しつつあるかにみえたが、ここにきて再び跳ね上がり、昨年12月にはコロナ禍後の最高水準に達した。 米国の引退者数は現時点で、セントルイス地区連銀のエコノミスト、ミゲル・ファリア・エ・カストロ氏が考案したモデルの予測を270万人ほど上回っている。 Sharp Uptick In Early Retirements The number of estimated excess
2月22日、日経平均株価はの東京市場でバブル期に付けた最高値3万8957円44銭を突破し、一時3万9000円台まで上昇した。写真は同日、3万9000円台を示す都内の株価ボード(2024年 ロイター/Issei Kato) [東京 22日] - 日経平均株価(.N225), opens new tabは、22日の東京市場でバブル期に付けた最高値3万8957円44銭を突破し、一時3万9000円台まで上昇した。その先には4万円の大台突破が控えている。こんな相場展開になろうとは、2023年末に多くの市場関係者は予想できていなかった。 エコノミストが見ているマクロ指標は、国内総生産(GDP)統計をはじめとして良くない。2023年7─9月期、10─12月期と連続して前期比マイナス成長だ。2024年1─3月期も低調となり、3期連続マイナス成長になる可能性がある。物価上昇の重しに対して、個人消費は消費数量
物価上昇に、賃金の引き上げが追い付かないインフレ環境になって久しい。物価上昇を加味した実質賃金は9月統計で、18カ月連続前年比マイナスとなっている(図表1)。 今回の値上がりが生活必需品である食品やエネルギーを中心としていることから、特に低所得層への影響は大きく、支出の見直しと節約を余儀なくされている。買い物時には、消費者が買い上げ点数を減らしているというデータもあり、多くの消費者が家計のやりくりに苦労しているようだ。生活必需品への支出の負担が増え続けているため、今後は耐久消費財の先送り、外食頻度の減少といった影響も予想されている。関連する業種の企業は戦々恐々だろう。 しかし、こんな状況にもかかわらず「コロナ前超え」「過去最高」といったキーワードで好調を報じられているのが百貨店業界だ。長年、売り上げの右肩下がりが続き、構造不況業種ともいわれていた上に、コロナ禍で甚大なダメージを受けた百貨店
Published 2024/07/24 20:24 (JST) Updated 2024/07/25 12:29 (JST) 東京証券取引所は24日、日本株を売買する際に最低100株単位としている取引ルールの変更を検討すると発表した。1株単位に引き下げることも視野に入れる。個人が少額でも投資しやすい環境を整備する狙い。機関投資家や証券代行機関などで構成する勉強会を10月から開いて課題や具体策を議論し、来年3月をめどに策定する。 現行のルールでは少なくとも株価の100倍の元手が必要になる。東証によると、上場企業の約1割は取引1回当たり50万円以上かかっている。1株単位で買えるようになり元手が少なくて済めば、個人投資家の裾野拡大が見込める。一方で、株主総会の開催にかかる費用が増えるといった課題がある。
2100兆円を超える水準にまで膨らんだ日本の個人金融資産。これまで「現預金重視」の傾向が強く、保守的な投資スタンスをとる人が多いとされてきました。 しかし、その日本でいよいよ「貯蓄から投資」への流れができるのではないかと見て、海外の資産運用会社が相次いで動き出しています。 海外勢のねらいはどこにあるのか、そして国内の資産運用会社はこの状況をどうとらえ、環境の変化にどう対応しようとしているのか、取材しました。 (経済部・坪井宏彰) 海外勢が事業拡大 政府が「資産運用立国」を掲げる中、日本の個人金融資産を取り込もうと虎視眈々(こしたんたん)とねらっているのが海外の資産運用会社です。 11月に入って欧米の大手運用会社の幹部が相次いで来日し、国内の機関投資家などを訪問しています。 その1つが、アメリカの教職員組合の退職年金や保険など、160兆円の資産を運用しているアメリカの大手資産運用会社「ヌビー
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