読売、共同、産経が引っ掛かった森口尚史氏のiPS細胞移植ねつ造事件、週刊朝日の橋下徹・大阪市長出自報道といい、「これはおかしい」「これは許されない」と編集現場のだれも声をあげなかったのか。職場でああだ、こうだと議論していれば防げたのではなかったか。 筆者は今年6月いっぱいで産経新聞を退社した。28年間、青春を捧げただけに胸にこみ上げるものがあると期待していたが、何も感じなかった。マスコミに何の未練もなかった。それより50歳という人生の折り返し地点を過ぎ、自分の足で立ってみたかった。 「在英フリージャーナリスト」と肩書は変わったものの、新聞記者をやめたつもりは毛頭ない。新聞記者とは「新聞社に勤める記者」を指すのか、それとも「新しい話を聞いて記す者」を意味するのか。筆者は勝手に後者だと思い込んでいる。 大阪社会部の駆け出し記者時代、特ダネがほしくて元暴力団組長や談合屋にも会いに行った。そんなと