同じ病棟の看護婦さん、Tさんには好きな男(ひと)がいます。 Tさんと彼は以前一緒に働いていて彼は今も時々ここへいらしていますが、病棟にいるTさんと顔を合わせることはほとんどありません。ごくたまーーーに病棟へ彼が来てそしてたまたまTさんも日勤でいると、彼女は傍目にも分かるほど本当に真っ赤になり、慌てて周りに「口紅貸して!」と言ったりします。私は「せっかくだから話に行きなよー。」と言うのですが、Tさんは決まって「嫌だよ。」とクールに言って少し離れた所から彼を見ているだけです。でもその真っ直ぐな視線はキラキラと輝く粒子を放って温度を持っているかのようであり、1秒でも長く視線で彼に触れていたい・・・という思いが溢れているようで、何だか見ていて微笑ましいのです。 そんなTさんは、実は私より8つくらい年上。普段はサバサバした性格で仕事も必要なことをテキパキとこなし、他の人のフォローもでき、私から見たら