中央集権型ではもう勝ち残れない 目指すべきは“全員参加型”だ〜感性を高める組織(1) 私が子どものころ、家の書棚には『ブリタニカ百科事典』英語版の全巻がズラリと鎮座していた。重厚感と風格あふれる革張りは、そこにあるだけで知の頂点をきわめたような錯覚を与えてくれた。 ただし、家族の中に英語を読める者は一人もいなかった。ではなぜこんなものがあったのかといえば、そこには明確な理由がある。家具メーカーを営んでいたわが家は、つくった書棚を広告用に撮影するとき、『ブリタニカ』を何冊か並べるとグッと見栄えがよくなることを発見した。当時、『ブリタニカ』をそろえる家庭は少なくなかったが、もっとも有効活用したのはわが家ではないかと自負している。 「ウィキペディア」の奇跡 外見だけではない。当時は『ブリタニカ』の存在そのものが権威だった。たとえば「現象学」の項目は、その提唱者であるフッサール自身によって