かつて小泉純一郎首相(当時)が「郵政民営化はドイツに学べ」と言っていた頃、国営事業体から民間の郵便・物流大手に転じたドイツポストの会長、クラウス・ツムヴィンケル氏は“輝ける民営化の星”だった。しかし今年、同氏の脱税事件が発覚。ドイツポストの苦境が露呈された。欧州では今、民営化の本質が問われている。 昨年秋から暮れにかけて、ドイツの有力経済紙は、ドイツポスト会長のクラウス・ツムヴィンケル氏にかかわるニュースを頻繁に報じた。報道内容は、同氏が最低賃金制導入を政府に迫っていること、金融事業部門子会社のポストバンクを売却するためドイツ銀行と水面下で交渉していること、さらに任期満了を待たずに勇退するのではないかという進退問題だ。進退をめぐるうわさは、グループ戦略が行き詰まり、収支悪化の経営責任を取るという見方が大勢だった。 だが、今年2月14日、ドイツ国民は進退問題の真相を悟った。ボンのオフィスと自