座右のニーチェ (光文社新書 353) 前書きより引用 ニーチェの思想は「むかし,読んだことがあるな,あれはよかった」と満足する類のものとは違う.たとえば,「むかしは風呂というものに入ってよくすっきりしていた,でも今はめったに入らない」という人がいたら,「不衛生だな」と思って敬遠するだろう.ほとんど誰もが習慣的に風呂に入るのと同じように,習い性のように触れているべきものだ. 読んだほうがいい,とはあえていわない.むしろ読まなければならない.恐れや小心,油断など,大人になるにつれ心にこびりついてくる精神の垢を,きれいに洗い落としてくれるのがニーチェだ. 齋藤孝がニーチェの思想を紹介する本です.冒頭から,上記したような強い表現が登場し,著者のニーチェへの思い入れの深さが伝わってきます.ニーチェの著作は未読ですが,思想に興味があったので手にとりました. 構成は作者がニーチェの箴言を引用し,それに