人間の心や頭の発達にとって、子ども時代は重要な意味を持ちます。近年、傷つきやすい若者、すぐキレる若者、頑張れない若者が散見されるのは、学力や知力とは関係ない、何か他の能力の不足が関係している――と、心理学博士の榎本博明氏は語ります。ここでは、その能力とは何か、どうしたら高められるのかを紹介します。本連載は、榎本博明著『伸びる子どもは〇〇がすごい』(日本経済新聞出版)から一部を抜粋・編集したものです。 指示待ちで自分から動けないという学生たち 小学校低学年の頃は、親に言われて勉強している子が成績の上位を占めるということがあるかもしれないが、小学校高学年や中学生になると、自分から勉強する意欲がないと徐々に成績は低迷していくものである。 そこで求められるのが、自発性を高めることである。これは本人自身の意欲によって動き出す性質なので、周囲の力によってこれを強化するというのは難しい。だが、悪い事例を