艶やかな紅色の裏地が目を引く黒のロングコートに、トレードマークの黄色みがかったレンズのメガネ。買い物かごをさげたピーコ(78才)は、あてどもなくゆっくりと店内の商品を見て回る。ただし手に取るのはいつも決まっていて、瓶のウイスキーと、つまみにするでき合いの総菜だ。セルフレジの前で立ち止まると、慣れた手つきで袋詰めを済ませ悠然と店を後にした。何の変哲もない日常風景のように見えるが、その背景には現在の日本が抱える社会問題が隠れていた──。 冒頭は3月上旬、都内の自宅近くの店で買い物をしていたピーコの様子だ。かつて「おすぎとピーコ」としてテレビに引っぱりだこだったピーコに関する報道が、この4月に相次いだ。4月10日、『週刊女性プライム』が自宅マンションからピーコが姿を消し、行方不明になっていると報じた。それから5日後の4月15日には『サンデージャポン』(TBS系)がピーコが高齢者施設にいると「無事