談志が死んだ [著]立川談四楼 いや、面白い。いい本だ。エッセイとも小説とも思えるこの作品には著者の才能が十全に発揮され、亡くなったはずの談志が、読む者の肌にまとわりついて、払っても払っても消えない。読み終わったときに、読む者の中に談志が生き返ってしまう。 立川談志は二〇一一年十一月二十一日に亡くなった。本書はその次の日、二十二日から始まる。著者はその日から死の噂(うわさ)を追いかけ、そして噂に追いかけられる。死去の情報は徹底的に隠されたので、もっとも近い弟子も知らなかったのである。そのあいだに、最後に会った談志の姿や、テレビ番組で著者が立川流の発祥について語る様子が書かれてゆくのだが、このテレビ番組の再現は、番組じたいより面白いのではないだろうか。ちなみに立川流は、著者である談四楼が真打ち試験に落ちたことで始まった。 談志の思い出を書いた賞賛(しょうさん)に満ちたエッセイだと思って読みは