現在、日中両国民が互いに悪感情を抱く最大の要因は、尖閣諸島問題である。尖閣諸島について、日中両国政府はともに固有の領土であると主張している。世界の常識に照らして、日中両国のどちらの方に分があるのであろうか。 ≪国境画定の要素を満たさず≫ 国際法には、国境線を定めるルールがある。それによれば、国境線は、「先占(せんせん)」、「割譲」、「時効」、「添付」などで決まる。 「添付」とは、干拓や海底火山の噴火などによって、人工的、自然的に新しい土地が生まれ、その土地が領土になることである。 「時効」とは、領有の意思をもって相当の期間、継続的かつ公然と占有することによって、その土地が新しい領土になることである。ただし、国際法では時効の完成期間は明確にされていない。 「割譲」は、国家間の合意(領土割譲条約)により領土の一部の主権が移ることをいう。領土は国家間の合意(条約)で「譲渡」、「交換」されることも