新年度に入っても食料品の値上げはやむ気配を見せず、今春の値上げは4千品目を超えた。そのうち1千品目を占めるのがアルコール飲料。その値上がりの余波は思わぬ場所に及んでいた。酔拳道場だ。 中国武術の一種・酔拳は相手の意表を突いた攻撃を繰り出すのが特徴。飲酒量が増えるほど技が切れを増すことから、試合中も腰に結んだ徳利から飲酒を行う。 日本ではジャッキー・チェンさん主演の映画「酔拳」(1978年)で広く知られたことをきっかけに道場が急増。現在は全国に2千ほどの道場があるという。 「越喝越強(飲めば飲むほど強くなる)」。東京郊外の酔拳道場「酔龍館」に掲げられた看板だ。 酔龍館館長の成酒龍さんによると、1試合での平均飲酒量は2合(360ミリリットル)。酔拳が本領を発揮するのは6杯目以降で、「豪杯旋舞(ごうはいせんぶ)」という奥義は最低10杯飲まないと成功が難しいという。 1回の指導ごとに必要な酒量は3
