ポピュラー音楽の話。日本のサブカルチャー界隈ではここしばらく、ヒップホップが流行っていると言われている。しかし僕はこの説が嫌いだ。 なぜなら、いま世界的に流行しているのはヒップホップではなく、R&Bだからである。ヒップホップはR&Bの一大潮流の中で、いわば間借りしてるような形で、活況を見せているにすぎないのではないか。 何のこっちゃわからん、という読者もいるだろう。たしかに音楽ジャンルの話はややこしい。以下で説明できるだろうか。 まず、ごく簡単に言うとかつてR&Bというのは、リズム・アンド・ブルースという黒人音楽を略した言葉だった。しかし特に九〇年代からはリズム感の洗練された楽曲やボーカルを活かした黒人音楽を全般的にR&Bと呼ぶようになる。そして近年、この楽曲の洗練性は電子音楽なんかの先進志向と結びついて、今やR&Bはポピュラー音楽全般をカバーしながらその最先端をいくようになっている、とい
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