素晴らしい作品が届いた。それまでの評価の高さもさることながら、とりわけ前作『GREY Area』(2019年)ではアイヴァー・ノヴェロ賞とNMEアワードのベスト・アルバムを受賞、マーキュリー賞にノミネートという名誉を得た、リトル・シムズ4作目のスタジオ・アルバム『Sometimes I Might Be Introvert』である。この期待して然りという状況で、しかも9月3日のリリースが4月21日の時点で告知されるという最近の、しかもラッパーの作品としては珍しく長いストロークを、シムズは大袈裟に煽るでもなく悠然と、さながらレッドカーペットの上を歩いているかのごとく、壮大なイントロダクション「Introvert」を皮切りにいくつかの先行シングルをリリースしながら、こちらへと向かってくるように見えた。 もちろんそんな風に“見えた”に過ぎないが、どちらにせよ届けられたのは安っぽい表現であることを