アシュリー・ポールは、すでに10年以上のキャリア持つ音楽家で、それこそ10年前は、日本でもよく知られるイーライ・ケスラーと何枚も共同作品を発表している。ふたりはその頃、ニューヨークで共同生活を営んでいた。それから彼女は大西洋を渡って、イギリスを拠点に音楽活動を続けている。 アメリカ中西部のアイオワ州はデモインで生まれた彼女の音楽の素地は、彼女の育ち(ジャズギターを弾く父、クラシック・ピアノに長けた姉のいる音楽一家)のなかで萌芽し、ニューヨークでの大学時代に多くの養分を吸収している。幼少期よりポール・デズモンドに憧れ、「将来はサックス奏者になる」と言い回ったほど早熟だったポールは、そして実際サックス奏者となるわけだが、19歳でアート・リンゼイに衝撃受けると、実験的な音楽やインプロヴィゼーションに惹かれていった。かくして彼女は、大学院で学位を取ってからも毎日地下鉄で6時間演奏するような生活をし