「遡」や「謎」の学参書体をどう設計すべきか、という問題のヒントを得るべく、昭和24年度の小学校國語教科書をざっとチェックしてみた。これらの教科書が文部省検査を受けた時点では、当用漢字字体表は答申こそされていたものの、まだ内閣告示には至っていなかったからだ。 チェックの結果、しんにゅうは全て楷書風の1点しんにゅうで印刷されていた。「歯」や「黄」が新字体で、「國」や「晴」が旧字体で印刷されていることを考えると、それらとは別のロジックで、楷書のしんにゅうは1点にすべきだ、という考え方が既に浸透していたということだろう。ただ、ショッキングなことに、草かんむりは全て4画だった。当用漢字表の草かんむりとは、また別のロジックが働いていたということだ。 ちなみに昭和25年度の小学校国語教科書では、「国」や「晴」は新字体になっていて、草かんむりは3画に変更されている。一方、しんにゅうは1点のグネグネした楷書