「一日も早い救済を」という被害者の声を受け、与党が国会に提出した水俣病被害者救済特措法案。しかし、法案は一時金の支給などの救済策のほか、原因企業「チッソ」の分社化を盛り込み、水俣病問題の「最終解決」を掲げる。早期成立と救済策実現を望む声の一方、被害者以外からも「拙速な幕引き」と批判が上がる中、五月一日、「公害の原点」は公式確認から五十三年を迎える。 与党の特措法案は三年をめどに救済を完了し、公害病患者の認定や補償を定めた公害健康被害補償法(公健法)に基づく地域指定を解除するとしている。指定解除されれば患者認定の道が閉ざされることになるため、救済策の早期実現を求める被害者らからも疑問の声が上がる。 二〇〇七年十月、与党プロジェクトチーム(PT)は一時金百五十万円の支給などを柱とする救済策をまとめた。しかし、原因企業という過去を清算したいチッソは、救済策受け入れの条件として、患者補償などを除く