米国人の今や10人に1人が抗うつ剤を服用している―。 服用者3000万人という数字を、医学誌『予防(プリベンション)』もニューヨークタイムズ紙も取り上げており、あながち誇張ではない(米国の人口は約3億1500万人)。3000万人は1998年の服用者の4倍に当たる。米国は「うつ病大国」と言って差し支えないようにも思える。米国には、うつ症状を抱える人がこれほど多いのだろうか。しかも40代と50代の女性に限定すると、実に4人に1人が抗うつ剤を飲んでいるという。 英文の医学誌『臨床精神医学誌(Journal of Clinical Psychiatry)』の最新号は、米国では近年、抗うつ剤が使用され過ぎていると指摘している。加えて、抗うつ剤を服用する人の実に69%は、うつ病とは診断された人ではないと結論づけている。 うつ病の症状とは それではなぜ全米の医師たちは3000万もの人たちに抗うつ剤を処方