「日本を、取り戻す」。保守色を前面に出す安倍晋三自民党総裁が選挙期間中、連呼したスローガンだ。 「日本」の意味するところはいまひとつ、はっきりしなかったが、少なくとも一つは取り戻した。2009年夏の総選挙で一敗地にまみれて以来、党の宿願だった政権復帰が成就した。 きのう投開票が行われた第46回衆院選は自民党が290を超える議席を獲得して圧勝、安倍首相が誕生することが確実となった。一度辞職した首相が返り咲くのは、戦後では吉田茂以来だ。 連立を組む予定の公明党の議席と合わせると、野党が多数を占める参院で否決された法案を、衆院で再可決できる321議席を超えた。 一方、野田佳彦首相は民主党大敗の責任を取って、党代表を辞任する意向を示した。 安倍氏は07年の参院選で惨敗。続投を表明して臨んだ臨時国会の開会直後に退陣した。健康問題が影響していたとはいえ、政権の投げ出しは強い批判を浴びた。言う