第五章 ドラッグ・カルチャーの時代 1960年代半ば、ボブ・ディランなどの洗練されたロックはアメリカ西海岸に飛び火した。そこで旺盛な探究心とLSDという幻覚剤と結び付きサイケデリック・ロックという音楽を生み出す。 その特徴はリズムやメロディーがあいまいでフワフワととらえどころがなく、幻覚体験を再現したようなサウンドであった。 1966年、ザ・バーズは新曲「霧の8マイル」を発表。この曲で斬新なサウンドの先駆けとなった。 ザ・バーズは前の年に二つの曲で全米第一位を達成し勢い付いていた。ところがこの新曲は発表直後、不運に見舞われることとなる。 政府から「ギャビン・レポート」という通達がラジオ局に送られ、「霧の8マイル」はドラッグの歌だとして放送禁止になってしまった。プレスリーが猥褻(わいせつ)、ビートルズが冒涜(ぼうとく)と言われたようにザ・バーズは危険と見なされてしまったのである。 LSDは当