元来は外為法上の運用基準に過ぎなかった武器輸出三原則は、戦後の政治過程を経る中で、憲法の平和主義を体現する「規範」としての性格が加えられた。防衛産業の輸出を抑制するこの軛(くびき)は、2014年の防衛装備移転三原則でも払拭されたとは言い難い。防衛装備移転を防衛産業強化につなげるためには、まず国際的な武器輸出の位置付けと日本における「禁忌」意識との乖離を認識する必要がある。 厳しさを増す安全保障環境の中で、各種のアンケート調査では、回答者の6割以上が日本の防衛力強化に賛成の立場を示している[1]。そして従来、その基盤となる防衛産業についての議論はあまり注目されてこなかったが、今回の防衛力強化の動きの中では、防衛産業側から示されている衰退への危機感に対応する形で、各種施策が打ち出されている。 2022年12月に発表された安全保障戦略三文書においては、「いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術