「先送りできない待ったなしの課題」だと繰り返しながら、若者が将来に希望を抱けるような処方箋を示せたとは言いがたい。 政府が「こども未来戦略方針」を決めた。岸田文雄首相が年頭に表明した「異次元の少子化対策」を実現するための総合政策だ。 年間3兆円台半ばを投じる。2030年代初頭までにこども家庭庁予算の倍増を目指す。打ち出されたのは、児童手当の所得制限撤廃など給付の大幅拡充である。 問題は、裏付けとなる財源の手当てが後回しとなっていることだ。子育てには長期的な支援が不可欠だが、安定財源が確保されなければ安心にはつながらない。 首相は記者会見で「徹底した歳出改革を行い、実質的に追加負担を生じさせない」と強調した。 だが、今ある事業や予算のどこをどれだけ削減するのかは明示していない。そもそも歳出削減だけで、大規模な予算を生み出せるのか疑問だ。 早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、国民の反発を