ファッション業界を題材にした映画は珍しくないが、世界的デザイナーであることは認められた存在でも、それが映画の対象となる人物は、そう多くはない。ココ・シャネル、イヴ・サンローラン、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、カール・ラガーフェルド、ジョルジオ・アルマーニ、ディオール(DIOR)のデザイナーとしてのラフ・シモンズ(RAF SIMONS)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のデザイナーとしてのマーク・ジェイコブス、アイザック・ミズラヒ(ISAAC MIZRAHI)といったところだろうか。 もちろん天才デザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンも長きに渡って世界的に成功し、現代を代表するデザイナーであり、ドキュメンタリー化に値する対象であることには間違いない。しかし前述のデザイナーたち、つまり自らの名前がそのままにブランド・エンパイアとなった彼らはもちろん、カール・ラガーフェルドでさえシャネ