毛(け)を吹(ふ)いて疵(きず)を求(もと)む 毛を吹き分けて隠れた疵(きず)を探すように、殊更に他人の欠点を見付けようとする。 私はそこへ詣(おまい)りに行きたいのですけれども、そこへ行きますと例の関所がありますので、関所の役人など(〔たち〕)に逢うたり、あるいは山都の中にはどうせ猜疑心の深い商人(あきんど)も居るであろう。毛を吹いて疵を求めるも要(い)らぬ事だと思ってそこには行かないことにしました。(河口慧海 『チベット旅行記』) 殊更に他人の欠点を見付けようとして、かえって己の欠点を露呈してしまう。