昭和から平成を経て京都・伏見の下町で長く愛されてきた銭湯が、令和元年の暮れを最後にその歴史に幕を下ろす。91歳の名物店主が64年にわたり経営してきたが、体の衰えや設備の老朽化もあり、店じまいを決めた。店先に張られた「閉店のお知らせ」には、利用者への感謝とともに、銭湯経営に至るまでの店主の人生もつづられており、ファンがツイッターで「心意気がにじみ出ている」「胸に刺さる」と名残惜しさを募らせている。 【写真】自らの人生を「閉店のお知らせ」につづった91歳の銭湯店主 京阪電鉄の丹波橋駅と伏見桃山駅のほぼ中間にある「呉竹湯」(京都市伏見区)。タイル張りの浴槽やオレンジ色を帯びた照明などが、昭和レトロの雰囲気を醸している。何より目を引くのは、男女の浴場を仕切る壁に描かれた風景画。緑が生い茂る渓谷の間を大河がとうとうと流れるダイナミックな構図だ。 「私が下絵を描いたんや。サウナを出たら視界がさーっと開