人にもよろうが、40年近く報道の仕事をしている筆者が「平成以降で日本最高の特ダネは?」と問われれば(1)毎日新聞の旧石器発掘捏造事件(2000年)(2)朝日新聞の大阪地検特捜部証拠改ざん事件(2010年)と答える。 9月15日、NHK・BSプレミアムの人気番組「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で(1)が詳しく放映された。番組で旧石器発掘捏造事件のスクープを振り返っていた元毎日新聞北海道報道部デスク・山田寿彦氏は、筆者の北海道時代からの友人である。社の取材班とともに栄えある新聞協会賞、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、菊池寛賞も受賞したが途中退社し、今は札幌で鍼灸マッサージ業を営む変わり種である。 事件を簡単に振り返る。 1981年、宮城県岩出山町の座散乱木遺跡で、東北旧石器文化研究所の民間考古学研究者F氏が4万数千年前の地層の旧石器を発見して脚光を浴びた。それまで3万年前までしか遡