一九一七年のロシア革命から今年で百年になります。レーニンをはじめボリシェビキ(共産主義者)が成就させた革命の陰に、「古儀式派」と呼ばれるロシア正教会の異端派がいました。神を否定した革命と異端の関わりは何なのか。実は、古儀式派はロシアの歴史に大きな影響を与えたと下斗米伸夫・法政大教授は指摘します。 青木 古儀式派は十七世紀のニーコン総主教の典礼改革に反対して破門されました。主な対立点は十字の切り方です。ニーコンは父と子、聖霊の三位一体を示す三本指で十字を切る仕方を導入した。一方の古儀式派はイエス・キリストの神性と人性を表す二本指で切るという旧来の仕方に固執した。単なる儀式上の違いがなぜ深刻な事件に発展したのか、不思議ですね。 キリスト教世界で最も権威があったギリシャの聖職者たちが提唱しました。「第二のローマ」と呼ばれた聖地コンスタンティノープル(現イスタンブール)を、異教徒のオスマン帝国から