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ブックマーク / blog.livedoor.jp/hattoridou (8)

  • 極私的大友克洋ノート(全6回) : なにも思いつかないの記

    ショート・ピース (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)クチコミを見る ときどき憑かれたように長文を綴ってしまうことがある。誰もマジメには読まないブログという場でそんなことすんのもどーよ? とは思うのだが、個人ブログだからこそ好き勝手に書けるわけで、何を ... ハイウェイスター (アクション・コミックス―大友克洋傑作集) 大友克洋のマンガ家時代。 「マンガ家時代」と言わざるをえないのが残念だが、そんな時代の大友の単行を羅列してみよう。①『ショート・ピース』奇想天外社1979 ②『ハイウェイスター』双葉社1979 ③『さよな ... 童夢 (アクションコミックス) さて、『童夢』である。 『童夢』が与えた衝撃は、私くらいの年代のマンガ好きなら誰しも憶えていると思う。 おもしろいマンガや熱くなったマンガはたくさんある。が、『童夢』という作品が読者に与えた印象は、そういう枠組みにはおさま

    極私的大友克洋ノート(全6回) : なにも思いつかないの記
  • ♯3 福本伸行『天』』(1)pp.78-79 近代麻雀コミックス : なにも思いつかないの記

    それまで何の気なしに目を通していただけだった連載マンガに、ある日とつぜん目を奪われることがある。これは単に面白さを見過ごしていただけだったことが多い。ちゃんとした面白いマンガなのに、先入観やら絵柄の好みやらのせいで私自身が面白さを見のがしていたわけだ。『シャカリキ!』曽田正人や『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦がそうだった。 しかし、「ある日突然」の理由が私のメガネ違いではなく、つまりそれまでは当にたいしたことないマンガ家だったのに、そのマンガ家がある日とつぜん「化けた」瞬間を目撃したことがある。それが福伸行『天』だった。 最近はたまにチェックする程度になっているが、若いころは麻雀マンガ誌をよく読んでいた。麻雀が好きだったから読んでいたというわけでもなく、マンガが好きだったから麻雀マンガも読んでいたと言ったほうが正しい。 とはいえ、麻雀マンガ誌の打率は低かった。闘牌シーンはともかく、マ

    ♯3 福本伸行『天』』(1)pp.78-79 近代麻雀コミックス : なにも思いつかないの記
  • ◆みなもと太郎/大塚英志 『まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史』 角川学芸出版2010 : なにも思いつかないの記

    まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史 私は日の聖地にて暮らす者である。なぜなら、手塚治虫生誕の地・大阪府の住人だからだ。 私家版『旧約聖書』から引用。 「『光あれ!』と神が言われた。すると手塚治虫が生まれた。手塚はマンガを産み、増やし、それらは大地を覆い、大空を舞い、巨大な海となった。見よ。それらは極めて良かった」(p.1 民明書房 発行年不詳) このあと、封建的ビルドゥングス・ロマンの肋骨から生まれた悪魔・梶原一騎誕生のくだりへと続いていくのであるが、そっちはまあいいや。 とにかく、手塚は現代マンガほとんどすべての源流となった。手塚の光はあまねく世を照らし、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しきときも、人々の心を慰め、勇気を与えた。 かつて、アメリカだかヨーロッパだかの誰ぞが、「日人はオトナでも電車の中でマンガを読んでいる。なんて精神年齢の低

    ◆みなもと太郎/大塚英志 『まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史』 角川学芸出版2010 : なにも思いつかないの記
  • 世間と私の谷口ジロー : なにも思いつかないの記

    マンガ家の谷口ジローに関する記事が、11/1付の毎日新聞朝刊に載っていた。 時代を駆ける:谷口ジロー/1 欧州へ日の日常漫画 ◇JIRO TANIGUCHI 普通の日人の日常を描く、一見目立たない日漫画家が、その精密な絵とストーリーの独創性から欧州で人気を集めている。谷口ジローさん。64歳。古里鳥取を舞台に家族の葛藤と絆を描いた代表作「遥(はる)かな町へ」は最近10年間で仏、独、西のコンクールで最優秀賞を受賞した。「母国以上」(仏紙)と評される人気の秘密は何なのか。 自分ではよく分かりません。例えば「遥かな町へ」は東京で働く48歳の主人公が、帰省中の鳥取で14歳当時の自分にタイムスリップし、青春を再体験する物語です。テーマは、あの時こうしておけばよかったという後悔、やり直したいという願望。独創性というより、人間の普遍的な要素が共感を得る場合が多いのかもしれません。昨年、この作品はベ

    世間と私の谷口ジロー : なにも思いつかないの記
  • ♯5-1 松本大洋『鉄コン筋クリート』(3) pp.54-55 …前編 : なにも思いつかないの記

    『鉄コン筋クリート』について云々するマクラとして、永井均『マンガは哲学する』(講談社2000)を使ってみる。 実はこの、使いたくないのだ。キライなのである。読んでいてイラッとするのである。なのに何で使うかというと、まず、『鉄コン筋クリート』についてまともに取り上げている、手もとでは唯一のであること。そして、その内容は残念ながらマトを射ていることである。 キライだから知らんぷりしてもいいのだが、なまじスジの通ったことを書いているだけに、同じようなことを書いてアップするとただのパクリになってしまう。知らなければ単なる私の無知ですんだのに、手もとあるのだからしかたがない。否応なく使わざるをえないのだが、やっぱりシャクだから、先にこのをdisっておく。disはdisrespectの略なんですかそうですか。ついこのあいだ知りました。 著者の永井均はプロの哲学研究者である。依って立つ哲学者はおも

    ♯5-1 松本大洋『鉄コン筋クリート』(3) pp.54-55 …前編 : なにも思いつかないの記
  • ♯5-2 松本大洋『鉄コン筋クリート』(3) pp.54-55 …後編 : なにも思いつかないの記

    とりあえず『鉄コン筋クリート』のストーリーを簡単に書いておく。以下、もちろんネタはぜんぶバレているよ。 物語の舞台は「宝町」という繁華街である。主人公は「クロ」と「シロ」というふたりの宿なし不良少年。見てくれは小学校高学年くらいだから、「不良少年」というよりも「ヤンチャな子供」と言ったほうがいいかもしれない。 が、このクロとシロは超強い。ビルからビルへと飛び移り、鉄パイプらしきものでヤクザをもブチのめす。「宝町」における関羽と張飛、と言いたくなるくらいである。あ、ここんとこ北方謙三の『三国志』を読んでいるもので申しわけない。 年格好は同じようなものだが、クロはシロの保護者だと言っていい。シロはちょっとオツムが弱く、汚れを知らない天然小僧なので、守ってやらないとダメだとクロは思い込んでいる。そのクロはというと、ガキのくせに人生にほとんど絶望しちゃってる感じで、シロを守りながら宝町をシメること

    ♯5-2 松本大洋『鉄コン筋クリート』(3) pp.54-55 …後編 : なにも思いつかないの記
  • (1)梶原一騎と小林まこと : なにも思いつかないの記

    青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス) 遅まきながら小林まこと『青春少年マガジン』を購入。 2008年、週刊少年マガジンは創刊50周年をむかえ、いろんな記念企画が誌上でおこなわれていた。ついでに少年サンデーも同級生で、ライバル誌なのに協力企画なんかもあったりして、まあ、そんなことはどうでもいいや。ちょっと注目していた作品がこれである。 そう。小林まことである。私くらいの年代のマンガ好きにとっては、わりと重要な位置にくるマンガ家であると思う。 代表作はやっぱり『1,2の三四郎』か。他に『柔道部物語』あたり。私はどちらも全巻そろえていたが、今では散逸してほとんど残っていない。現存しているのは『それいけ岩清水』とか『What's Michael?』みたいなギャグ系だけ。物持ちの悪さが残念きわまりない。 『青春少年マガジン』は、要するに小林の思い出話である。マガジンで新人賞をもらっ

    (1)梶原一騎と小林まこと : なにも思いつかないの記
  • (5)梶原一騎とちばてつや…後編 : なにも思いつかないの記

    ――さて、うってかわって、ここで現代国語の問題。 「ジョーにとって力石徹とは何だったのでしょうか。ひらがな三文字で答えなさい」 こういう問われ方をすると、答は簡単ですね。 答:「あした」 これ以外にありません。 ジョーにとって力石は「あした」だったのです。不良少年だったジョーが、自分なりの価値観の中で初めて「コイツはスゲェ!」と思えた相手が力石だった。目的もなく、漠然と「ゆめの大計画」などをホザいていたジョーの前に、突然現れ、ジョーにとってリアルなあこがれの存在――つまり「あした」――となったのが、力石だったのです。 『あしたのジョー』における「あした」という概念は、恣意的で幅広い読み込みを許すが、たいていは「あした」=「ジョーが進むべき未来」という構図で解釈するだろうと思う。私もそうだった。 が、もっと狭めて、「あした」=「力石」であると措けば、物語の構図がよりハッキリと浮かび上がるのだ

    (5)梶原一騎とちばてつや…後編 : なにも思いつかないの記
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