■序 アンティオキアのシリア正教会はキリスト教の誕生と同時に創始されており、これほど古い歴史を持ったキリスト教の宗派はほとんど存在しません。シリア正教会は最も早く確立した使徒の教会のうちの1つであることを誇りに思います。すなわち、新約聖書に書かれている通り、「このアンティオキアで、弟子たちが初めてキリスト者と呼ばれるようになった」(使徒言行録11:26)のです。 アンティオキアの教会はキリスト教世界においてエルサレムの次、2番目に設立された教会であり、使徒座としてのその名声は様々な文書にはっきりと記されています。カエサレアの教会歴史家エウセビオスの『年代記』によれば、使徒ペテロがアンティオキアで初めて司祭職制を創始し、彼自身がその最初の主教になりました。また、彼は、エヴォディウスが使徒ペテロの後を継いだとしています。エウセビオスのもう一つの歴史書、『教会史』の中では、エウセビオスは、アンテ