かつて、1910年代末期から1940年代前半にかけて、挑戦的なアイデアとアニメーションを兼ね備える、独創性に富んだ作品群を送り出した伝説の兄弟がいた。マックス・フライシャーと、デイヴ・フライシャーである。 本連載では、フライシャー兄弟の作品の魅力を「解剖」し、彼らの作品の魅力に再度スポットライトを当てていく。なお、筆者は2021年の春を目途にフライシャー・スタジオの作品を楽しむためのガイドブック同人誌の刊行を予定している。本連載は、ガイドブックの原稿を一部改稿・短縮した上で、再構成したものである。 兄弟のアニメーション業界でのキャリアはマックスの実写をトレースし滑らかな動画を実現させるロトスコープの発明に端を発し、サイレント時代は道化師ココがインク壺から飛び出し現実世界を荒らしまわる楽しいシリーズ『インク壺の外へ(原題:Out of the Inkwell)』『インク壺小僧(原題:Inkw