16世紀中ごろから西南戦争が終結する明治10年ごろまで鹿児島県を中心とした旧薩摩藩と旧人吉藩では浄土真宗(一向宗)の信仰が禁じられていました。何故この二つの藩だけが信仰を禁じられたのかについては諸説あるのですが、その弾圧は過酷を極めたので、それを避ける為に彼らは講と呼ばれる秘密組織を作って陰ながらに一向宗の信仰を続けました。そんな人たちや集団の事を「隠れ念仏」と呼びます。 隠れ念仏の人たちは藩の監視の目からは隠れる一方でこっそりと浄土真宗の本山である京都の本願寺との繋がりは保ち続けていました。弾圧を受けながらもあくまで教義としては正統であり続けようとしたのですね。 ちなみによく似た言葉として「隠し念仏」と呼ばれるものがあるのですが、こちらは一般的には浄土真宗の中でも異端扱いされる秘密主義的な信仰の事を指し、岩手県を中心とした東北地方のものが特に有名です。隠れ念仏と隠し念仏は論文や本の中でよ