「実話ホラー」と銘打たれた本書は人体を冷凍保存し、未来の科学力に期待して復活の機会を待つという人体冷凍保存会社のひとつであるアルコーに、一人の元救命医が転職し、また出て行き、告発するまでのお話である。人の記憶は絶対ではないので、過去は変わる。そして容易に自分にとって都合のいい方へと記憶をねじまげたり、思い込みから事実がねじまげられたりもする。 特に著者は完全な神経衰弱に陥っていてどこからどこまでが被害妄想なのか、どこまでを信じていいのかわからなくなるのだけれども、ここに書かれている100分の1しか本当のことがなかったとしても、それは十分に恐怖と言える。 それぐらい怖い。そして不快。「絶対に人にオススメできない」本というと僕はジャック・ケッチャムの一連の本を思い浮かべるけれども、あのような「なぜこんな世界が存在しなければならないのか」感を味わう事になる。段々と著者が見聞きしていくアルコーの内