10年位前に、沖縄の遺骨供養として洗骨という風習があることを教わったことがあります。遺体は風葬にして自然のまま朽ちてゆく時間を待ち、遺族がその朽ちた骸遺を墓から出してきれいに洗い清めて改めて遺骨として埋葬するという儀式です。 後に沖縄スタイルの墓を知る機会にもなるのですが、興味をもって調べてもなかなかその風習を記したものにあたることがなかったものでした。ですからこの映画はとても待ち遠しく、東京に先駆けて封切られた沖縄へ安売りの航空チケットを調べながら仕事の休みと照らし合わしていたりした一月を過ごし、ようやくその映画を鑑賞することができました。 『洗骨』の物語 映画は死化粧を施された妻恵美子のアップから始まります。 節だらけの板材で拵えた小さく簡素な棺に、あおむけで足を折り曲げるようにして納棺された母の髪をなでる娘、ひとり酒をあおり無言の夫、長男は嫁と冷ややかな視線を交わすのみという独特の雰
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