この秋、モンゴルを訪れる機会に恵まれた。モンゴルといっても、個人的には小学校の国語の教科書で習った『スーホの白い馬』の印象しかなく、つまり予備知識なし。ほぼまっさらな状況で出かけただけに新鮮な驚きを感じたことも多かった。 その中の1つが、現地で宿泊した「ゲル」の存在だ。ゲルは、遊牧民であるモンゴルの人々の移動式住居。ウランバートルなどの都市化が進む中では過去の産物であり、観光用などに残っているだけだと思っていたのだが、実はまだまだモンゴルの人々は「ゲル」に居住しているという。 モンゴルは夏が短く、真冬になればマイナス20℃といった厳しい寒さが訪れる。私が訪れた9月下旬ですら、一気に気温が氷点下に下がり雪がちらついていたほど。こうした環境に適応するために現代の暖房機器やソーラーパネルを搭載するゲルもあるが、それでも昔ながら、ゲルの中で薪を焚いて冬を乗り切る人々もいるという。 今回は、「ゲル」