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ブックマーク / ktmk.hatenablog.jp (11)

  • 神様のバカ - 金田んち

    【第6回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」への参加物です。 聞いてください! 「はじめまして。私、なるほど出版の住吉綾香と申します。」 「はじめまして。僕がお送りした情報の件ですよね。」 「ええ。早速ですが、鳥越さんからいただいた情報について、詳しくお話をお聞かせください。」 「もちろんです。」 なるほど出版で働く住吉は、宮崎県高千穂町にある小さな喫茶店で鳥越と面会していた。古い店内には焙煎されたコーヒー豆とタバコの臭いが染みついている。 ここのところ下降傾向の出版物の売り上げを何とかしようと、読者から募った不思議体験を載せる企画をしていて、その取材のため高千穂に訪れたのだ。 「あれは5日前のことでした。僕はその日傷心していて寝つけず、夜中なのにふらふらと散歩に出かけたんです。」 「傷心と言いますと?」 「それ言わなくちゃいけませんか?」 「いえ、すみ

    神様のバカ - 金田んち
  • 断片 - 金田んち

    なんとなく書いた。続きを書くかは分からない。 わたしが踏み入れたのは、暗黒としか表しようのないところだった。 目の前に何があるのか、足元に何があるのか。道はあるのか、建物はあるのか。生きているのか、死んでいるのか。何かの生命体がいるのか、何をすればいいのか。何も分からない、只管に暗黒に覆われるだけだった。 何も分からない、しかし、ただじっとしてても仕方ないから、私は少しずつ歩いた。 何かにぶつからないか、何かに躓かないか、何かいないか、光はないか。暗黒の中では、五感のうち一つは何の役にも立たないが、その感覚にすら希望を預け、注意深く神経を疲弊させた。 漆黒のフィルムを纏った魚眼レンズ越しに、ど田舎の夜空を眺めたみたいに、全く定かでない光のようなものが見えた気になった。 生まれたばかりのガチョウの雛のように、正誤も善悪も思想も情緒も無関係に、私はその朧げな光を追った。 光は毎日少しずつ進む。

    断片 - 金田んち
    amenomorino
    amenomorino 2015/03/17
    SFのような。でもどこへでもいけそう。
  • ここだけの秘密 - 金田んち

    机が4つ。隣り合わせに2つと、同じように向かいに2つ配置された机の島。 そのうちの1つを使ってる俺は資料を読んでて頭が煮詰まり、意識は資料の隣に無造作に置かれた文房具を眺めている。 ピンクと黄色の付箋、赤いホチキス、テープのりとボールペンが2に、シャーペンが1。 ここはいつもどおりの職場だ。 向かいの席の山田さんは、相変わらず隣の席に座る上司と仲良く雑談している。俺の隣の席の上司は...こちらも相変わらずどこかをほっつき歩いているんだろう。席にその姿はない。 どうしたもんかなぁと窓の外を眺めると、空をどんよりとした重そうな雲が覆っている。直に雨が降りそうだ。 考えても分からないものは仕方がない。上司が席に戻ってきたら相談しようと考え、気分転換にお茶を注ぎに給湯スペースに向かった。 お茶を注ぎ終わり早く帰りてぇと独りごちながら席の方を見ると、と葉っぱが描かれたマグカップを手に持ち、世界

    ここだけの秘密 - 金田んち
  • 家族を繋いでるのは嫁 - 金田んち

    家族。俺と嫁と息子と娘。そして俺と嫁の両親、子どものじじばばを繋げてくれるのは嫁だと思う。 息子は早いもんで、もう2歳半くらいになった。ときどき意味不明な言葉をしゃべることもあるけど、両親やじじばばの言葉はこちらが思っている以上に理解してるし、考えてることを察する能力もかなり発達してきてると思う。 息子に対して俺が出張で家に帰らないことを喋ってないのに、それを察していつも以上にすり寄ってきたり、俺や嫁の雰囲気の変化からおこられそうなことを読み取って大人しくなったり、逆にその雰囲気を拭い去るように大声をだしたりする。 そんな息子の成長を見てて、息子が想像以上に「分かる」んだと「分かって」から、昔よりも叱る機会が増えた。俺もそうだし嫁もそう。じじばばはかなり甘いのでほとんど叱らない。 で、この前息子に歯磨きをさせるために、俺が洗面所に連れて行って、歯磨きを持たせて「あっちでしておいで」とリビン

    家族を繋いでるのは嫁 - 金田んち
  • 何もない - 金田んち

    最近ブログ書いてなかった。 なんかあんまり時間ないってのもあったけど、なんか頭ん中がちょっと前とは変ったような、変な感じ。 少し仕事が忙しいせいなのかもわかんないけど、最後にブログの文章書いた時とは使ってる脳味噌の部位が違う気がする。 なんつーか、なんか書けるなぁってなってるときは、脳味噌の中心部分、たぶんそこには核みたいなものがあるんだろうけど、それが主に働いてて、だから中心のところ付近が重いし熱を帯びてるような感じ。そんな時って、仕事で何か考えないといけないような場面でもすぐにこうすりゃ上手くいくかも、みたいにわりと閃くことが多い。文章書いてても次から次に頭ん中で構成ができて、こう書いたほうが分かりやすいかもとか、こう書いたほうが面白いかも、みたいなのが続々と浮かんできて、んで書き進めるうちにその中からこれにしようみたいな選択が自動化されてる。 今はなんつーか、中心のところは機能してな

    何もない - 金田んち
    amenomorino
    amenomorino 2015/03/06
    波じゃないかなーと。そういうのあります。
  • 万能感とインターネット - 金田んち

    つまようじ、イスラム国…エスカレートする悪ふざけ投稿 “目立ちたい”が喪失させる倫理感 (産経新聞) - Yahoo!ニュース 先週これを読んでからモヤモヤしたものが残ってずっと考えてた。 これから先の文章はあまりまとまってないので、結論だけ先に書く。 「ネットがバカを可視化した」「ネットでの注目度がステータスを得た」。確かにそうだろう。さらに俺はネットに悪戯投稿する人たちが幼稚だと思った。そして幼稚な行動を起こしてしまうのに、ネットの構造が関係してると考えた。 ネットは人の成長過程で抱くはずの万能感を奪い取り、広く薄い世界に「何者にもなれない」たくさんの人を可視化した。 一方で、「誰でも」「何者かになれる」ような謳い文句が蔓延り、隙あらば人に万能感の幻影を魅せる、そんな構造の世界だ。 というのが結論で、あとはダラダラ続く。 記事へのコメントにもあるように、犯人がこんなことをやったのは「悪

    万能感とインターネット - 金田んち
  • ルイスのチョコレート - 金田んち

    今回もなんとか書き終えました。小説らしきものです。 【第4回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」 10時すぎまで残業をしていたところ、同期の剛からの誘いで居酒屋に行くことになった。 最近の俺はプライベートで甚大なダメージを負い、ヤケクソ気味に仕事に打ち込んでいた。 居酒屋は職場近くの馴染みの小料理屋。席もお馴染みの端から一つ離れたカウンター席。一番端を空けるのは、その椅子に二人分のバッグを置くためだ。 「おつかれ」 いつもの如く「いつもの」と店主に伝えれば自動的に出される冷や奴と「とりあえず」の生ビールで乾杯する。 「お前流石にありゃないわ」 剛からの言葉に溜息をつきつつ、ムッとした視線で俺は答える。 「だから言ったじゃん。俺」 「天から授かった二物も、武器にならねぇことがあるんだな」 ニヤける剛の顔をぶん殴りたくなった。 俺は先週のバレンタイン、ガツン

    ルイスのチョコレート - 金田んち
  • 高熱より微熱が辛い - 金田んち

    日曜日に子どもから移住してきた風邪の菌が悪さをしてるようです。 今日は潤んだ目とか、赤らんだ顔とか、それでいて寒い寒い言いながらコートを着て仕事してる俺の姿に見かねたのか、上司から強制送還くらいました。 熱は測ってませんがたぶん微熱程度が何日か続いてます。 今まで一番の高熱を経験したのは高校の頃で、その時はたしか朝から39度を越えてたとの朧げな記憶があります。 そんな状態でも俺は朝から学校に行き、座学だけでなく体育の授業でラグビーもやりました。 もちろん辛かったので誰かがスターくれたら励みになったと思います。 なんかフワフワするし、全身力が入らないし。俺のラグビーでの武器といえばすばしっこく動き、敵陣をかいくぐることだったのですが、足にも力が入らないためそれも出来ません。 いつもはある程度活躍の場が与えられる体育の授業が、これほどまでにつまらなかったのはこの日が最初で最後です。 それでも座

    高熱より微熱が辛い - 金田んち
    amenomorino
    amenomorino 2015/01/14
    お大事になさってくださーい。
  • サンタの忘れもの - 金田んち

    【第3回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」 チーン 古びた3DKの県営住宅に住む三田輝作は、居間として使っている部屋の一角に置かれた仏壇の前で手をあわせるのが日課だ。 「おわよー」 ガタガタ、ツァー 襖を開けながら冷めやらぬ眠気をゴシゴシと擦りつつ朝の挨拶をしたのは、輝作の息子の優輝である。 優輝は今年7歳、未だたまにおねしょをしかぶってしまう小学1年生だ。 「とーちゃん、いっつもちーんしよーね」 「母ちゃんやからね、父ちゃんには大事なことなんよ」 輝作のは、優輝が1歳の頃に不慮の事故で亡くなってしまったため、優輝は母親と過ごした記憶というのがほとんどない。そのため、自分に母親がいる生活というものが想像できず、また何より母親を亡くしたことに対する喪失感のような感情がない。 なので、輝作はそんな息子に対し、自分がやっているように仏壇に手をあわせるよう強

    サンタの忘れもの - 金田んち
  • うちの帰りの会 - 金田んち

    最近仕事から帰ってからの会話は「良かったことと悪かったことどっちから聞きたい?」という会話がメインだ。 「ただいまぁ」 と俺が玄関を開けるよりも前に、家の中から 「おかぁえりぃ!!」 と高い声を張り上げるのが息子。 家は廊下がほとんどないミニマムな造りなので、玄関を開けると、遊んでくれるやつが帰ってきた!とリビングのドアからウキウキ笑顔を出す息子とのご対面。 「ただいま、ちょっと待っとけよ、かあちゃん寒くないようにドア閉めとってね。」 息子の頭をポンポンと撫で、着替えた後に風呂掃除を済ませリビングに入ると、テレビを見ながらくつろぐ嫁と、嫁に抱かれ安心して眠る娘とご対面。今月から娘は夜に離乳べ始めたので、この時間はよく眠るようになった。 「おかえり」 「ただいま」 嫁との挨拶を終えると膝元に駆け寄り上目づかいで両手を広げる息子。 「びよーん」 息子の「抱っこ」のサインに応え抱き抱え、わ

    うちの帰りの会 - 金田んち
    amenomorino
    amenomorino 2014/11/28
    いい顔しているんだろうな家族のみんな。整骨、出産後は骨盤が戻りにくい人もいたり育児で腰とかも傷めやすいので、いいのかもしれませんね。
  • たまごやきが消えた - 金田んち

    ふつうの日記。 会社からの帰宅途中、駅近くの公園で路上ライブをやってる女の人を見かけた。路上ライブなんてここ何年も見てなかったのでちらっと立ち寄ってみた。 やってたのは見た感じ二十歳前後、色白でロングの黒髪をした、けっこう可愛い女の子だった。 ギターを持って胡坐をかいて歌ってたんだけど、声は特徴的で歌も上手かったかし、可愛さも手伝ってるんだろうけどそれなりに見物客がいた。歌も容姿もmiwaみたいな雰囲気だった。 彼女の前にはギターケースが置かれてて、数十枚の100円玉や500円玉と、千円札が何枚か入れられてた。 いつも使う駅付近の公園なので、以前からこんなことやってる人がいるんなら気付きそうなものだけど、よく考えたらいつもはわき目も振らず急ぎ足でその場を通り過ぎるから、気にも留めてなかっただけなのかもしれない。 いつも通る道でも、たまには興味を持ってみることで新しい発見があるのだなと思った

    たまごやきが消えた - 金田んち
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