わすれもの、うせものがたえない毎日を送る忘却散人(飯倉洋一)のブログです。2008年3月スタート。日本近世文学。 軽い読み物として、推敲もなしに書いていますので、学術論文などへの引用はお控えください(どうしてもという場合は、事前にコメント欄にでもご連絡下さい)。エッセイなどでの引用やSNSなどでのリンクはご自由にどうぞ。 田坂英俊氏の『諸国翁墳記―翻刻と検討』(2014年10月、慶照寺)が上梓された。 『諸国翁墳記』の「翁」とは芭蕉のこと。すなわちこの本は江戸時代に編まれた芭蕉塚集成である(先の俳文学会でもこの本についての発表があった)。年々、全国で少しずつ増えていく芭蕉塚を次々に記録しては出版した異色の出版物である。当然出版されるたびに少しずつ丁数が増えて行く。本書に序を寄せた田中道雄先生は、各図書館にある『諸国翁墳記』を閲覧するたびに、丁数が異なるのに困惑し、どの時点で増補が停止したの