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ブックマーク / blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo (21)

  • 「出版権」とは何なのか?:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    電子書籍に関して話題になることが多い「出版権」という権利について基的なことを書いてみます。 そもそも、出版権とは「出版に関する権利」というような緩い定義の言葉ではありません。日の著作権法において明確に定められた権利です。 79条1項 第21条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。 80条1項 出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。 要するに出版権とは図書・図画出版のための複製権の独占的利用許諾です。単なる契約に基づくライセンス許諾ではないので、出版権者は他者の無許諾出版に対する差止め請求もできます。また、独占的権利なので

    「出版権」とは何なのか?:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • 廃盤ジャズCDの再発と再販制度について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    マニアックなお話しではあるのですが、私が最も好きなジャズミュージシャンを一人挙げよと言われれば「スティーブグロスマン」ということになるで しょう。相当ジャズ好きな人でないとご存じないかもしれませんが、爆音とアグレッシブなソロラインを特色とする天才肌のサックス奏者です。ミュージシャン ズ・ミュージシャンの一人と言って良いでしょう。というわけで、グロスマンのCDは積極的に集めてきたのですが、超有名という人でもないので廃盤になって 入手困難なCDも結構あります。 そのような入手困難盤のひとつ”Perspective”がようやく再発され無事入手することができました。まあ正直、80年代初期風のフュージョンサウンドが時代を感じさせ、万人にお勧めできる作品ではないですがグロスマンのソロはすばらしく、ファンの人にとっては今回の再発は大変よろこばしいことでしょう。 さて、このCD、元々はAtlantic R

    廃盤ジャズCDの再発と再販制度について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • なぜグーグルブックサーチの米国の和解結果が日本の著作権者にも影響を与えるのか:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    賛否両論のグーグルブックサーチ訴訟の和解結果ですが、留意しておきたい点は、これは(米国の)著作権者団体とグーグルとの双方納得済みの和解の結果であるということです。たとえば、当事者のひとつである米国作家協会(The Authors Guild)の公式リリースでは、「この和解により絶版から作家が収益を得る機会が得られた」という点が重要視されています。(なお、絶版がいくらオークションで高値でやり取りされても通常著作権者の利益にはなりません(話題になるという間接的効果はあるかもしれませんが)。) さて、この話が米国内だけで完結していればよいのですが、なぜ、日の著作権者にまで影響があるのかを気にされている方もいるかもしれません。ブログ界では「なんかわからんけどそういう風になってるんだな」あるいは「よく考えれば当たり前なので説明の必要もない」という見方が多いように思えますが、気になって夜も眠れな

    なぜグーグルブックサーチの米国の和解結果が日本の著作権者にも影響を与えるのか:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • 日経ITPro記者さんのクラウドに関する疑問に勝手に答える:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    ちょっと前になりますが、日経ITProの記者の眼のコーナーに「調べれば調べるほど分からなくなる『クラウド』」 という記事が載りました。クラウドを企業コンピューティングの世界で活用しようとする時に、ある程度企業ITを経験した人であれば誰もが思う疑問だと思いますので、ここで勝手に私なりの回答を書いてしまいます。 1.データの移行はどうするのか? システムにリプレースがあるように,サービスのリプレースもある。A社のSaaSからB社のSaaSにリプレースする場合,A社のSaaSに蓄積されたマ スター/トランザクション・データをB社のSaaSに移行しなければならない。その際,どういう形式でデータを出力できるのか,どうやってデータを運搬す るのか。 この質問に対する答は、「ユーザーは、今までOSのAPIやプロセッサの命令セットにより囲い込まれてきたように、クラウドの世界ではデータにより囲い込まれる」と

    日経ITPro記者さんのクラウドに関する疑問に勝手に答える:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • 中山信弘先生の講演を聞いてきました:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    ICPF(情報通信政策フォーラム)の第4回セミナー「デジタル・コンテンツ利用促進のための法制度について」に行ってきました。西村あさひ法律事務所の岩倉正和先生が主にネット法について、そして、中山信弘先生がフェアユースについて話されるという構成です。 ここでサマリーを書こうかと思いましたが、津田大介さんがTwitter上でかなりの再現度で実況をされていますので、ご興味ある方は津田さんのタイムラインを参照ください。 私の質問に関する部分だけちょっと補足しておきます。津田さんのタイムラインだと、 栗原「昔から心変わりした理由は?」 中山「心変わりではなく、情勢を見る目が変わった。学者の頃はベンチャービジネスへの認識が甘かった。今情勢を見るとネットの最先端を見れば、法的リスクよりも時間を選ぶ人がいるということがわかった」 となってますが、「昔から心変わりした」というのは中山先生の教科書『著作権法』で

    中山信弘先生の講演を聞いてきました:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • カラオケ法理の判例が積み重なっていく:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    のTV番組を海外で視聴できるサービス「インターネット親子テレビ」の違法性が問われた裁判で、東京地裁が著作権侵害という判決を出しました(ニュースソース、判決文(PDF))。 録画のための特殊機器を業者が利用者にレンタルするという形態のサービスなので、管理性(機器の所有権、関連サービスの提供)および図利性(利益を得ているかどうか)の観点から複製行為の主体は業者であり、よって、私的複製ではない、というネットサービス系のカラオケ法理適用における典型的ロジックです。過去の判例の流れから見ればしょうがないかなという感じです。 被告側はそもそもこの手のサービスにカラオケ法理を適用すること自体おかしいとの主張もしていますが、まったく認められていません。 ということで、この手のサービスを合法的にやろうと思えば、まねきTV的に汎用機器(ロケフリ)をユーザーに買ってもらって、業者側はハウジング・サービスに徹

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  • JASRACの黒歴史にちょっと触れてみる:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    JASRACの公取立ち入りについて書いたエントリーで、 JASRACのすべてが大問題というわけではありません。比較的ちゃんとしている部分もあれば、問題ありな部分もあります。事実に基づいた冷静な批判を行なっていきたいものです。 なんて書きました。その時に引用しておけばよかったですが、heatwaveさんのブログのこのエントリーとかこのエントリーが参考になります。「日のCDが高いのはJASRACのせい」などというよくネットでありがちな批判が的外れであることがわかります。 と言いつつ、別に私はJASRACを全面的に信頼しているわけではありません。一般的に言って、大勢の人から金を集めて再分配する、競争原理があまり働いていない、法的に強制力のある権利を持っている、監督官庁から天下りを受けているという組織は、黙ってると腐敗しがちであるのは、社会保険庁等の例を出すまでもなく自明でしょう。 となるとやは

    JASRACの黒歴史にちょっと触れてみる:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • 「ポケットU」についてもう少し詳しく検討してみる(2):栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    MYUTA事件(イメージシティ事件)(判決文(PDF))では、以下の点が考慮されて、カラオケ法理が適用され、公衆送信の主体はサービス事業者である(ゆえに、公衆送信権が侵害されている)と判断されました。 1.サービスに不可欠な行為として送信が行われている。 2.サーバはサービス・プロバイダーの所有であり、その管理下にある 3.送信機能はサービス・プロバイダーの設計である 4.ユーザーが個人レベルでCDの音源データを携帯電話で利用することは相当困難 5.ユーザーの行為はシステムの設計に基づく ポケットUでは2の点が違います。(しかしながらファイルローグ事件でもわかるように、送信を行なっているコンピュータがユーザー所有というだけでは、カラオケ法理の適用は否定されないと思います。全体的に見てサービス事業者がどの程度関与しているかで判断されると思います)。また、ドコモの資料からでは明らかではないです

    「ポケットU」についてもう少し詳しく検討してみる(2):栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • 「ポケットU」についてもう少し詳しく検討してみる(1):栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    NTTドコモの「ポケットU」に関する前回のエントリーやはてブのコメントを見ると「カラオケ法理」を知らないで議論している人がいるようなのでまず説明しておきます。 カラオケ法理とは、「店がカラオケ機器を提供・管理し、客のカラオケ歌唱により店が盛り上がって利益を得ているのであるから、客がカラオケで歌っていても、店が歌っているのと同じにする(歌唱の主体は店)」という理屈です。重要な点は、店の管理の度合いと利益を得ているかどうかがポイントとなるということです。 なお、Wikipediaのカラオケ法理の項目には「店側は『著作権を侵害しているのはカラオケ機器を利用して歌を歌う客...』と主張した」と書いてありますが、これはちょっと不正確です。客が歌う分には著作権侵害行為は発生しません。入場無料・ノーギャラ・非営利での上演は許諾なしに行なえます(そうでなければ、銭湯で歌を歌うのにもJASRACの許諾が必要

    「ポケットU」についてもう少し詳しく検討してみる(1):栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • ドコモさん、JASRACの許しを得ましたか?:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    ドコモが、携帯から自宅のパソコンの中身を閲覧できるサービス「ポケットU」を始めるそうです(ソース)。「自宅のパソコンに保管した...音楽を聞いたりできる」と書いてあります。また、「ハードディスクレコーダーに収録した映像を携帯で見られるようにするサービスも始める計画だ」そうです。結構便利に使えそうなサービスです。 と言いつつ、「MYUTAの法理」で公衆送信権侵害なんてことにならないように気を付けていただきたいものです。(注:MYUTA事件は公衆送信権(および複製権)を侵害するということで、地裁判決が確定しています。)まさかドコモがデューデリをしてないとは思えませんが。ユーザーの自宅に汎用のVPNルーター(ユーザー所有)を置かせて、アクセスさせるのなら大丈夫かもしれませんが定かではありません。 追加: ドコモのニュースリリースによれば、ドコモ製の専用ソフトを自宅パソコンにインストールして使うみ

    ドコモさん、JASRACの許しを得ましたか?:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • JASRACとニコニコ動画の包括契約キター:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    ついに来ましたね(ソース)。まさか、エイプリルフールではないと思いますが、これで、オリジナルの演奏(打ち込み)であれば、VOCALOIDもの、歌ってみた、演奏してみたのニコ動(SMILDEVIDEO)へのアップが合法的にできるようになりました(CD音源、PV画像、TV画像などの使用はNGです)。 売り上げの1.875%を支払う(JASRAC管理曲がもたらした売り上げだけではなく、全売り上げということなんでしょうね)という包括契約はまあまあだと思います。さっそく「初音ミクsings」の打ち込み作品に動画つけてアップしたいのですが、残念ながら今週いっぱいは海外出張であります。 例によってですが、JASRAC管理の海外曲の利用はOKなのか、JASRAC管理曲を使った動画をニコ動以外のサイトに埋め込み表示したらどうなるのかもすごく知りたいです。

    JASRACとニコニコ動画の包括契約キター:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ
  • 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 > ブックオフが「著作物使用料に類するもの」を支払う意図は? : ITmedia オルタナティブ・ブログ

    はてブに「これはひどい」タグが大量に付けられるのが見えるような話ですが、新古書店のブックオフが著作者団体に「著作物使用料に類するもの」として1億円を支払う申し出をしたそうです(ソース、ただしブックオフ側からの正式コメントなし)。 古の販売については著作権者側には一銭も入りませんので、著作者団体が何らかの形で分け前をよこせと運動するのは一応うなずけます。しかし、それは法律の改定をするよう働きかけるという形で行うべきです。古の販売に著作権(譲渡権)が適用されない(ゆえに著作権者側に金が入らない)のは現在の著作権法で明確に規定されているからです。 著作権法26条の2では、正規の権利者からいったん譲渡された著作物には譲渡権は及ばないと明確に規定されています(解釈論とか契約でこうなっているという話ではありません)。ちなみに、譲渡とは有償、無償をとわず所有権を移転することです。このようにいったん正

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  • ブックオフ問題にはどう対応すべきなのか?:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    以前書いたブックオフに関するエントリーでは、ちょっとシニカルな物言いをしてしまいましたが、新古書店の問題に対して何らかの対応が必要そうな点については理解しております。 多くの人が新刊(特にマンガ)を買って読んだらすぐに新古書店に売る、そして、新古書店で買った人も読んですぐまた新古書店に売るというサイクルが繰り返されていると、著作権者にも(そして、出版社にも)対価がわたらない状態でどんどん二次流通が行われてしまいますので、クリエイターのインセンティブが失われてしまうという理屈は理解できます。 ただ、この問題の質のひとつは、定価を払って買って手元において何でも読み返したいようなクオリティの出版物が少ないということと、再販制度によって新刊書の市場価格が市場原理によって決まらないという点にあると思いますが、その話はとりあえずここでは触れません。 結論から言うと、現行法の枠組みで考えるならば、1度

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  • 「一億総犯罪者」について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    もう既に多くの方が読まれていると思いますので、今さら紹介するのも何ですが、ITmediaに掲載された、東京大学の中山信弘教授の講演の記事、まだ読まれていない方は是非ご一読をおすすめします。中山先生が言われることがすべて正しいとは言いませんが、現在の著作権制度が抱える問題点が簡潔にまとまっていると思います。 特に下記の点は重要です。 「著作権法を侵害したことがない人はほとんどいないだろう。訴える人がいないだけで、形式的には“一億総犯罪者”とも言える」――例えば中山教授が大学の研究室で他人の論文をコピーする行為も、「私的使用の範囲を超えているから」著作権侵害に当たると話す。 もちろん、ここでのポイントは、犯罪者を取り締まれでもなければ、絶対犯罪行為をしないようにみんな気をつけようでもありません。法律を含む著作権制度を実状に合うように変えていかなくてはならないということです。 サーチエンジンのキ

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  • 試しにニコニコ動画に作品をアップしてみた件について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    試しに週末に作った作品をニコ動に上げてみました。そんなにアクセス数が伸びているわけではないですが、まさか50歳のオッサンが作ってるとは思わないでみんな聴いてるんだろうなーと思うとなんか楽しいです。自分でやってみて初めてわかることもいろいろとあります。 1.ニコ動は視聴者の間のエクスペリエンス共有だけではなく、クリエイターと視聴者の間のエクスペリエンス共有の場でもある ニコ動は不特定多数の人と「空間だけではなく時間軸も越えて」エクスペリエンス共有できるという点で希有のメディアだと思います。よく知らない人に説明するときには「バーチャル・スポーツバー」だと説明することもあります。スポーツバーと違うのは、エクスペリエンスを共有するのは他の視聴者だけではなく、クリエイター自身も含まれてるということです。気合いを入れて作った部分に対して 「 (・∀・)イイ!」というようなコメントが良いタイミングで入る

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  • Yahoo!ビデオキャストとJASRACとの契約について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    そういえば、Yahoo!ビデオキャストも昨年の7月の時点でJASRACと仮契約して、JASRAC管理曲の演奏動画がアップできるようになったとのプレスリリースが出てましたね。正直、その後はまったく何の発表もないのでまったく忘れてました。 Yahoo!ビデオキャストのサイトに行ってみるとJASRACに関する記載はまったくありません。動画をアップする時に表示されるリンク「削除の対象となる動画とは」の先に、 カバー曲やアカペラなどの演奏を自作した動画は投稿できます。プロモーションビデオやCD音源を利用するなど、実演家やレコード会社の権利を侵害する楽曲が使われた動画は削除対象になります。 となんとなくJASRACの許諾を得ているかのような記載があります。ただし、このブログでも何回も書いているように、JASRACは外国曲の動画へのシンクロ権を管理していない(正確には料金が決まっていない)ため、音声だけ

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  • 三浦和義逮捕と属地主義/属人主義について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    三浦和義逮捕にはビックリしましたね(人が一番ビックリしたでしょうけど)。私は刑法関係はあまり詳しくないですが、日は属人主義(犯人の国籍が日人なら世界どこでの犯罪でも罰する)的、米国は属地主義(犯人の国籍にかかわらず米国内で起きた犯罪を罰する)的というやり方の違いからこういうこともあるのだということは把握できました。 さて、知財法については一般にほぼ属地主義的な考え方が採用されています。つまり、どの国の法律を適用するかは行為が行われた場所で決まります。たとえば、日でだけ特許が成立している場合には、外国でその特許を使った商品を作ったり売ったりすることは自由です(ただし、日に輸入される段階で差止めされ得ます)。ゆえに、重要な特許については世界各国に同時に特許出願できるPCT(国際出願)という制度を使うことが多いです。商標の場合もだいたい似たような感じです。著作権の場合も基的には行為が

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  • 歌詞のストリーミング公開について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    「初音ミクsings」の更新がちょっと滞ってます。例年、この時期は仕事が忙しいというのもありますが、今はどっちかというとオリジナル楽曲に勢力を傾けているというのが主な理由です。なお、オリジナル曲は基的に匿名で発表しますので「xxxxPの正体は栗原さんでは?」というような質問をしてこないようにお願いします (^_^;) ところで、JASRACの規約では動画に音楽を付けて使う場合には、原則として、音楽の許諾とビデオグラム(動画コンテンツのこと)の許諾で二重の契約を行う必要があります。しかし、非商用ストリーミングの場合には、例外的に音楽の許諾だけで音楽付動画コンテンツの配信を行うことができるようになっています(外国曲を除く)。したがって、「初音ミクsings」の場合には、このままでも動画配信ができる状態なわけです。 とは言え、私は映像系は全然ダメなので、静止画上で歌詞のテロップを入れたフラッシ

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  • ライブ告知+JASRACとライブハウスについて:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    完全に趣味のお話しですが、2月23日(土)に沼袋のOrganJazz倶楽部にてジャムセッションのホストをやります。このお店は、現時点では都内で唯一のハモンドオルガン(物)常設店です。今回は、メジャーCDデビューも決まった女の子バンド、ビアンカのドラマー三科律子さん(ウマイ、カワイイ)が、忙しい時期にもかかわらず手伝ってくれることになりました。 なお、正確に言うと、これはライブではなくジャズのジャムセッションです。楽器を弾ける人が集まって、その場で順番決めて、その場で曲を決めて演奏していくというジャズならではのイベントです。人前で演奏するのは初めてみたいな人と、CDも出してるようなプロが一緒に演奏できて、ちゃんと音楽として成立する(たまにしないこともありますが)というジャズは大変「便利」な音楽スタイルです。また、三科さんは私とは二周りくらい年齢が違うと思いますが、お客さんの中には還暦過ぎた

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  • 初音ミクの権利の多重性について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ

    ちょっとエロ度が高すぎる初音ミクのオリジナル曲が、クリプトン社の要請によってニコ動から削除されたという事件がありました(ソース)。個人的には、クリプトン社ブログの説明にある「公序良俗の判断基準については弊社では「TV放送できるか否か」をひとつの判断基準としています」も妥当と思いますし、作者さんも削除に納得しているようなので、この件自体についてはこれ以上特に言うことはありません。 この事件を題材にクリプトン社がニコ動に対して削除を要求できた根拠について考えてみようと思います。あくまで法的な考察であって、道義的にどうすべきとか、ビジネス戦略的にどうすべきかということは考えません。 まず、「ソフトとしての初音ミク」について検討します。「ソフトとしての初音ミク」の権利は、著作権法およびパッケージに入っている使用許諾書で守られています。一般に、商用ソフトの使用許諾書は、許諾条件(たとえば、「1台のコ

    初音ミクの権利の多重性について:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:オルタナティブ・ブログ