SFマガジンから個人ブロガーまでが、ひたすら著名SF作家の名を挙げ、本書がそれらの長所の合わさった超傑作であるかのように絶賛していることについて、首が折れるのも厭わないほどの勢いで首肯。すごくおもしろかった。 内容について書いてしまうのがもったいないような気持ちで居るので、できる限り中身については語らずに、表層的な部分のみを使って感想を書きます。まさしく本の表層である裏表紙から、神林長平の推薦文を使って。 円城塔は本書でもって、かのオイラーの等式を文芸で表現してやろうと企画したのではなかろうかと想像する。出自の異なる互いに無関係な二つの無理数(永遠に続く感触のある物語群)を虚数空間(小説空間)に放り込み、ある操作をしてそこに1を足すと(メタレベルでもって全体を構成すると)、0になる(虚無が、人生には深遠な意味などない、が導かれる)。人生の価値は、その中にあるという、その充実しためっぽう面白