ある女性がキムチの漬け込み用のポリ袋で防護服を作る。ダンボール箱で型紙を作り、隙間をドライヤーで加熱するとビニールが溶けてくっつく。はさみで切って形を整えて被れば防護服になる。大阪の病院職員が3日間で4000枚を作ったという。この状況には腹が立つはずなのに、「医療用として使える」と言って笑顔だ。諦念も混ざっているかもしれないが、不条理劇のような不思議な光景だ。 医療現場では「医療崩壊が始まった」と訴えている。医療装備、人材不足が限界に至った。東京では少なくとも病院13カ所で感染が確認され、正常な診療が停止した。日本第一のがん病院では手術の8割を中断することにした。大阪も3次、4次医療機関がシャットダウンされた。日本医師会会長は「緊急を要しない手術の延期」を厚生労働省に要請した状態だ。 東京の56歳の男性は新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)が疑われて何度も保健所に電話したが、6日目にようや