日本の司法の場で、北朝鮮による犯罪行為の一端が裁かれる意義は大きい。「地上の楽園」との甘言にだまされて渡航し、今も捕らわれている人々を救出する一歩にしなければならない。 戦後の帰還事業で北朝鮮に渡り、過酷な生活を強いられたとして、脱北した男女4人が北朝鮮政府に計4億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決である。 東京高裁は、虚偽の情報で北朝鮮に渡航させ、出国を許さなかった「勧誘と留置」の不法性を検討した。その結果、二つは「継続的な不法行為」だとして、損害の管轄権は日本の裁判所にあると認定した。「日本では裁けない」などとして訴えを退けた東京地裁に、審理を差し戻した。 一般的には、国家は他国の裁判には服さないという原則「主権免除」の対象となりうるだろう。しかし高裁判決は日本国内で行われた「勧誘」からの連続性を重視した。 在日朝鮮人2世で原告の川崎栄子さん(81)は「日本の司法制度が正義を貫いた。