監督/脚本 ニルス・ミュラー 1974年に起きた、実際の事件をもとにした作品。しかし内容は事件そのものというよりは、事件を起こすに至った犯人の心理のほうに焦点があたっている。 とにかく主人公のサムを演じるショーン・ペンがすごい。表情、目つき、喋り方、すべてにおいて、ショーン・ペンはサムになりきっていて、私はショーン・ペンてこんな顔つきの人だったっけ?と空恐ろしくなった。見てるのが辛いくらいの痛々しさで、ああ、こんなじゃ生きにくいだろうな、と思う。 その生きにくさはサム自身も実感しているはずなのに、彼はちっともかわろうとしない。それは彼が現実を認めたくないからなのだとはおもうけど、だからといって何かの切欠で彼の人生が上手く行く様な予感や希望もなく、ひたすらに彼は現実から目を逸らし続ける。仕事も金もないのに、ふて寝する。そのせいでどんどん追いつめられる。 サムは自分に正義があると思っている。平