イスラエルではこれまで政府のチェック機関だった最高裁の権限を縮小させる法案が成立し、三権分立が骨ぬきにされた。この法案成立に各地で抗議デモが発生しており、イスラエルを代表する企業からの批判も相次いでいる。こうした批判の背景には「戦争を先導しながら兵役につこうとしない」宗教保守派を政府が優遇することへの不満もある。 徴兵制の復活を叫ぶ高齢者のように安全地帯から勇ましい主張をする人々はどの国でもいるが、それが政府ぐるみになった時、拒絶反応が湧き上がるのは不思議でない。 「欧米の飛び地」に広がる抗議デモ 欧米の政府や研究者はしばしばイスラエルを「中東唯一の民主主義国家」と呼ぶ。専制君主国家や事実上の軍事政権が林立する中東において、イスラエルは「欧米の飛び地」のようにみなされてきたともいえる。 しかし、そのイスラエルでは反政府デモが拡大し、ビジネス界や軍をも巻き込んだ政府批判が噴出している。 その