それでも、超えられないもの―――『差別と日本人』(1)で 一つは、「加害者」にならないように抗議を控えつつ、ジワジワと自分の考えを相手に伝えていく方法。 もう一つは、「加害者」扱いされようがなんだろうが、ガンガンと自分の主張を繰り返す方法。 この本を読んで、野中氏は前者、辛氏は後者なんじゃないかと思った。 と、書いた。 書いたのに、辛氏についてはまったく触れることができなかった。 その辛氏の闘いぶりの一端を表しているのが 差別する対象を決めるのは、差別される側ではなく差別する側である―――『差別と日本人』(2)で引用した「注釈」部分だと思う。 そんな辛氏なので、当然、野中氏とぶつかる場面もある。 たとえば、石原慎太郎に関して。 辛氏が黙っているはずもない。 辛 先ほど名前をあげましたが、石原慎太郎さんだけではなく、政治家からとてもたくさんの差別発言が出ますよね。植民地支配のこともそうですし