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私はWHOや厚生労働省が出しているという「受動喫煙」の害に関するデータというのを信用していない。これは、別に私が信じたくないからではなくて、私だって「害は確かだが現在の規制は過剰だ」と言ってしまえばよほど楽だと思うくらいだ。だが、学者としての良心がそれを許さない。 なぜか。 さる地方の医師が送ってくれた『統計学を拓いた異才たち』(サルツブルグ、日本経済新聞社)に「喫煙はがんの原因か」という章がある。その中に、バートランド・ラッセルが記号論理学を整える過程で「原因と結果」というものだけがどうしても記号論理学で表現することができなかった、とある。「原因と結果というものは存在しない。それは通俗的な妄想であり、純粋理性の攻撃に耐えられないあいまいな概念なのである。それは矛盾したアイディアにおいて相互に一致しないものを含んでおり、科学的言説においては、ほとんど、もしくはまったく価値を持っていないので
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