「革新」という言葉が使われなくなって久しい。55年体制の時代においては、自由民主党(自民党)を保守政党と呼び、それに対峙する野党勢力の一員で、なおかつ社会主義を目指す政党を革新政党と呼んだ。 革新政党が目指した社会主義の中身は千差万別である。たとえば、民社党は民主社会主義を理念として掲げたが、これは西欧型社会民主主義と同義である。公明党は人間性社会主義を理念に掲げ、日本共産党(共産党)は1960年代に中国共産党と決別して以来、自主独立の社会主義路線を貫いた。 このように革新政党の社会主義といっても、その内容は政党ごとに異なった。そのうえ、同じ政党内にも様々な意見が存在する場合があった。そこで本稿では、革新政党の中でもとくに明確な理念を掲げ、さらにそれが広く人口に膾炙した人物を2人取り上げ、それらの理念が今日の日本にどのような意味を持つのかを考察してみたいと思う。 2人の人物とは江田三郎と向